◙ 『大坂圭吉研究』は全四冊発行されており、今日はその中から第三号を紹介する。巻頭特集は【中篇探偵小説「抗鬼」 雑誌『改造』への掲載をめぐって】。「抗鬼」が載った『改造』昭和12年5月号の状況を説明、それ以前の『改造』に発表された探偵小説作品一覧、また『改造』のライバル誌『中央公論』に発表された探偵小説作品一覧もある。名の知れた作家でもないのに『改造』の編集者・佐藤績に注目しているのは杉浦が決して探偵小説のド素人ではないか、あるいは実に注意深い人だったか、どちらにせよなかなか鋭い着眼点だとお見受けした。
もうひとつは圭吉の師匠にあたる甲賀三郎の文面。甲賀は「十九日会」と言う探偵小説研究グループを作っていて、圭吉もそのメンバーのひとりだった。ただ「十九日会」の除名ルールは厳しく【特別の理由なくして三回以上連続欠席したるとき】【特別の理由なくして二回以上連続して作品を朗読せざるとき】とあり、圭吉は『新青年』連続短篇のノルマなどで動きが取れず、連続三回欠席してしまったらしい。
◙ 「抗鬼」の特集であっても大阪圭吉宛ての書簡がいろいろ読めるのは有益。昭和13年以降、日本で探偵小説を発表することが困難になっていったのを杉浦俊彦がどれほど細かく掌握していたかも微妙なれど、〝大坂圭吉以後、『改造』社の探偵小説に対する情熱は急速に冷却して行った(ママ)〟と語る杉浦の指摘は、『改造』のバックナンバーを読み込んでいない私には新鮮だった。
(銀) 大阪圭吉に関して杉浦俊彦が制作した小冊子はこの他に、『第1小説集「死の快走船」覚え書き』と『三河にも推理作家がいた - 大坂圭吉の復活』がある。また『改造』の編集者・






