「誤植や誤情報につきましては読者様からご指摘を受ける事もございますので参考とさせていただいております。」って、まるっきり自覚の無い他人事みたいな物言いだな。この論創社のツイートを見て、数日前に会見を開いた旧統一教会の勅使河原秀行本部長と福本修也弁護士の白々しさを思い出した。あのさあ~「一箇所たりともミスすんな」なんて無茶は言わんから、せめて私の気付かないようなところでミスするとか、一冊の本で五箇所以内のミスに収めるぐらいの仕事はできんものかね?論創社の本造りの粗さに気が付いている人はただ沈黙しているだけで、上段にて紹介したazzurroさん以外にもきっといる筈だぞ。
2022年9月26日月曜日
『川野京輔探偵小説選Ⅲ』川野京輔
2022年3月9日水曜日
『江戸川乱歩(作)上野友夫(演出)【連続ラジオ小説】魔術師』
◖ 声の出演 ◗
語り手 中西龍
明智小五郎 広川太一郎
浪越警部 木下秀雄
玉村善太郎 巌金四郎
玉村一郎 青砥洋
玉村二郎 高橋亨
玉村妙子 吉野佳子
福田得二郎 前沢迪雄
花園洋子 神保なおみ
牛原耕造 庄司永建
玉村幸右衛門 巌金四郎
奥村源次郎 庄司永建
文代 倉野章子
奥村源造 庄司永建
主題歌は三船浩「恋は魔術」。挿入歌は無し。
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(銀) 文代役は『魔術師』で演じてくれた倉野章子でそのまま継続してもらいたかったのに、この後声優が二転三転。上野友夫によれば、動かせないレギュラーである中西龍や広川太一郎とスケジュールが合わなかったんだって。余談だが倉野章子は角野卓造夫人でもある。
2022年3月3日木曜日
『江戸川乱歩(作)/上野友夫(演出)【連続ラジオ小説】黄金仮面』
NHKに入局し、ラジオ文芸部の演出家として多くのラジオ・ドラマを制作してきた川野京輔こと上野友夫。【連続ラジオ小説】の枠で彼は江戸川乱歩の作品を毎年ドラマ化。本日取り上げる『黄金仮面』より前にもNHKラジオ第一で『黒蜥蜴』(声の出演:唐十郎/李麗仙)を放送していたが、名探偵明智小五郎=広川太一郎として定着するシリーズはここから始まった。放送時間帯はAMラジオの月曜~金曜21時5分から21時20分。
乱歩作品を映像化したところで、原作の素晴らしさの再現など望むべくもない。理由は簡単。彼の小説はあの語り口に類い稀なる魔力が込められているのに、TVドラマや映画だと、その部分はすっかり失われてしまうのだから、面白くなる道理が無いのだ。その点、上野友夫はこの【連続ラジオ小説】で乱歩の〝地の文〟における語りを極力活かし、1928年生まれである中西龍アナウンサーの語りも探偵小説に〝うってつけ〟だったから、凡百の映像とは違って原作らしさと戦前の時代の雰囲気が楽しめた。
すべての回のサブタイトル、及び主要な声の出演者を記しておく。
第一回「金色の恐怖」
第二回「金色の守宮(ヤモリ)」
第三回「浴槽の美女」
第四回「A・Lの記号」
第五回「鎧武者」
第六回「(ネットにupされていないので不明)」
第七回「月光の怪異」
第八回「死体紛失事件」
第九回「赤き死の仮面」
第十回「ルパンは何処に」
第十一回「開けセザーム」
第十二回「アトリエの怪」
第十三回「白き巨人」
第十四回「大爆発」
最終回「勝負はいずれに」
語り手 中西龍
明智小五郎 広川太一郎
浪越警部 木下秀雄
鷲尾正俊侯爵 巌金四郎
美子姫 川口京子(*)
小雪 友部光子
大鳥不二子 川口京子(*)
エベール 須永宏
黄金仮面 久松保夫
(銀) ネット上にUPされた音源はいつまでもある訳じゃなく突然削除されたりするので、興味のある方はなるべくお早めにチェックされたし。どうせだったらこのシリーズ、明智の登場する通俗長篇第一弾「蜘蛛男」から始めてもらいたかったけど、明智の出番がかなり後のほうになるから上野友夫は着手しなかったのか。惜しい。それにしても【連続ラジオ小説】を当Blogで取り上げたからには、次作の『魔術師』も記事にしないといかんだろうなあ。
2020年11月7日土曜日
『猿神の呪い』川野京輔
街の古本屋で見つけた本だが、2003年の刊行時にはすっかり見落としていた。川野京輔の本名は上野友夫。1954年、NHK入局。彼の業績は『推理SFドラマの六十年』にて知ることができる。数々のミステリー・SF/ラジオドラマを手掛けながら作家としても活動した異色の経歴を持つ。本作「猿神の呪い」は1960年、島根新聞にて半年間連載したレア長篇で、初の単行本化。
■ 松江のラジオ局プロデューサー郡英之は、自分につきまとう怪しい影に不安を感じていた。そんな郡は大学時代の同窓である猿田春彦と再会する。島根・仁多郡の奥深い集落に居を構える猿田家は代々、子供が生まれるとその当主が必ず死ぬという。春彦の頼みを聞いて郡英之は猿田集落へ向かうが、そこは陸の孤島と化した忌まわしき呪いの地だった・・・。 ■
著者の本業を主人公に投影、当時赴任した地方のローカリティをふんだんに盛り込み、ロマンスもありつつ不穏なムードで物語は進む。怪猿・ミイラ・サディズムと著者の筆は暴走し、結末で暴かれる怪猿と宝物の謎は「なんじゃそれ?」と笑ってしまった。現代なら絶対難癖をつけられそうな表現もあるのに、最後まで掲載した島根新聞は偉いもんだ。
内容はいわゆる伝奇スリラー。同時代の大河内常平あたりと比べたら、文章は整然としている。江戸川乱歩、あるいはそれ以前の村山槐多に見られる「怪の物」(あやしのもの)風テイストもあり、好事家ならそれなりに楽しめると思う。『たそがれの肉体』『コールサイン殺人事件』等の旧い単行本は既読だけど、それ以外の川野京輔の探偵小説ってどうなのだろう、是非発売してほしいところだ。ちなみに版元である新風舎が経営破綻しているので、本書の重版は望めない。
上野友夫名義の仕事では、75~82年頃のNHK-AMでオンエアされていた江戸川乱歩や横溝正史のラジオドラマがなんとも懐かしい。下手なTVドラマや映画より格段に優れていたので、こちらも商品化を熱望する。このレビューを書いている時点では御本人も健在らしく、やるなら今しかない。

「黄金仮面」楽譜 「魔術師」「吸血鬼」「人間豹」楽譜
歌詞を書いている杉野まもるは川野京輔の別名。この四作 +「地獄の道化師」「化人幻戯」だけは欠落無く良い音質でもう一度聴きたいなあ。どうして当時ノーマルのカセットでいいからテープに全話を完全録音しておかなかったのだろう・・・。商品化してくれるのが一番嬉しいけど、ラジオドラマのソフトって難しそうだし、今はRadikoという便利なものがあるので、あらかじめ抜かりなく事前告知をした上で再放送してくれないかな。川野翁ご本人からNHKへ強権を発するってのは無理ですか?