2023年9月27日水曜日

映画『King Kong〈キング・コング〉』(1933)

NEW !

Warner Archive Collection    Blu-ray
2022年9月発売



★★★★★   Warner北米盤Blu-ray一択
   
 


ボーッとネットを眺めてたら〝『大仏廻国』、ブルーレイにて11月発売〟との告知を見つけた。「あれってフィルムが現存していたのか。いきなりブルーレイで商品化って、やるじゃん!」と勇んで詳しい情報を拾いに行くと、出演者の中に佐野史郎の名が・・・・・・・リメイクかあ。五年前にリメイク版「大仏廻国」が公開されてたって知らんかった。実際1934年(昭和9年)のフィルムが発掘されでもした日には、もっと大騒ぎになってるわな~ガッカリ。とんだぬか喜びでありました。




そんな訳で口直しに今回はオリジナル「大仏廻国」より一足早く公開され世界を驚愕の渦に叩き込んだ初代「King Kongで行ってみたい。ジョン・ギラーミン監督1976年版リメイクはリアルタイムで観た。あれはあれでまだCG以前の作り方だから良かったと思うけれども、日本の円谷プロを含むあらゆる特撮作品の古典的名作として、メリアン・C・クーパー/アーネスト・B・シュードサックが手掛けた1933年初代コングはハンパなくよく出来ている。野獣と美女のロマンスなんて生まれもしないし、コングは獣性のまま容赦なく人間を口に放り込み、あるいは踏みつぶす。叙情性に捉われることなく104グイグイ引き込んでゆくプリミティヴな在り方が、数ある後続作品と違って爽快なり。

































【 仕 様 】

北米盤Blu-ray  リージョン・フリー

字幕:  英語

ブックレットなし

 

 

【 アドバンテージ 】

1933年版「King Kong」のブルーレイは日本盤も2010年代にIVCから出ているとはいえ、IVCのディスクはどうも画質がイマイチらしい。自分は日本語吹替なんて要らないし「King Kong」に台詞の細かいニュアンスを求める必要は無いので英語字幕があればOK。IVCの日本盤ブルーレイと見比べてはいないから比較論は書けないが、私の入手したWarner北米盤ブルーレイは画質・音質共に全くストレスを感じさせないベターな仕上がりだった。

 

 

【 特典映像 】

メリアン・C・クーパーのキャリアを俯瞰するなど、かなりのボリュームで収録。オーディオ・コメンタリーでのトーク以外はすべて英語字幕付き。気の遠くなるほど手間暇かけた約一世紀前の特撮メソッドの種明かしに興味をそそられる。「ウルトラQ」によって我々日本人もその名を知る事となったオプティカル・プリンターへの言及があったり、本作のヒロイン/アン・ダロウを演じたフェイ・レイは当然ながら、レイ・ハリーハウゼンやジョン・ランディス(1983年にマイケル・ジャクソン「Thriller」ショート・フィルムを監督)なんかも顔を見せている。
















IVCの日本盤ブルーレイって、これらの特典映像を普通に収録しているのだろうか?もし未収録なら(「日本語字幕/日本語吹替なしでは洋画が見られない!」と駄々をこねる人は無視して)尚更北米盤ブルーレイを推したい。Warner Archive Collectionと題されている本盤はアメリカでは20ドルぐらいで売られている。向こうからの送料と現在の為替レートを換算しても5,000円以内(送料込み)の金額で贖うべし。円安は痛いよ。

 

 

 

(銀) 特撮にばかり目を奪われがちだけど、音楽とサウンド・エフェクトの貢献を見落としてはいけない。コングが拳で何かを殴るシーンにおいて、その動きとぴったりシンクロした音が付けられているのがチャーミング。サントラの全体的なムード作りもその後のこのジャンルの指針になってるね。音楽は本作の五年後に「Gone with the Wind〈風と共に去りぬ〉」を手掛けるマックス・スタイナー。



本日は昨年(2022年)の秋に出たWarnerの北米盤ブルーレイをオススメしたが、同じ20222月にはパッケージ・デザインこそ北米盤とは異なるものの、ドイツ盤ブルーレイのノーマル・エディションとスペシャル・エディション(「Son of Kong」「Mighty Joe Young」もまとめて収録)がリリースされている。こちらも単価はお手頃なのに送料で高くつきそうなデメリットがあるのと、Region A」「B」「C」となっていて一見日本のプレーヤーで観れそうな感じだが欧州盤は再生できない場合もありうるから、全てのコンテンツが日本の通常のプレーヤーで再生できるか、また画質などのクオリティは良好かどうか、ネットに寄せられた海外ユーザーの声を確認した上で手を出したほうがよろしいかと。





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