2021年9月13日月曜日

『女妖』江戸川乱歩/横溝正史⑭

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九州日報
1930年6月30日~7月12日掲載



■「黒い棘」(1)~(11)




【注意!】現在、連続企画としてテキストの異同を中心としたこの長篇の検証を行っていますが一部のネタバレは避け難く、「覆面の佳人」(=「女妖」)の核心部分を知りたくないという方は、本日の記事はなるべくお読みにならない事をお勧め致します。



【この章のストーリー・ダイジェスト】

 

▲ 「黒い棘」(1)~(11

 

炎上した千家篤麿邸から春日花子を救い出した成瀬珊瑚子爵は牛松/お兼/庄司三平と合流して人目のつかぬ街にひとまず腰を落ち着けていた。そんな彼らの居場所は誰も知らない筈なのに、春日花子を訪ねてきた者がある。木澤由良子だ。彼女は負傷した綾小路浪子を見舞った成瀬子爵が花子にも是非来てほしいと云うので迎えに来たと告げる。その由良子の跡をつけてきたのか、蛭田紫影検事が家の外をうろついている様子が窓から見て取れた。

 

 

由良子と花子は策を講じて蛭田の監視を搔い潜り、子爵と浪子が待っているという場所へ。馬車は郊外のうらぶれた地域にある洋館に止まった。由良子の導くままに長年人が住んだ気配の無さそうな屋内へと花子は入っていくが、そこには子爵や浪子どころか、人っ子一人居らず、待っていたのは数十本の蝋燭が燃え、妖気立ち込める白い祭壇。得体の知れぬ恐怖に怯える花子。春日龍三という共通の父を持ち、異なる母の腹から生まれ、一方は何不自由なく育ち、一方は孤児として辛酸を嘗めてきた二人。名状し難き怨念渦巻く中、遂に春日花子と木澤由良子はここに相対したのであった・・・。


                        

 

以下は黒い棘」の章にて春陽文庫(上段)と『九州日報』(下段)のテキストが明らかに一致しない箇所を拾い出したもの。

 

 

A   晴れ渡ったような気持になれるのだろうか(春)  39615行目

   晴れ渡ったやうな氣持になれるのだろう (九)

 

 

B   その時に残ったただ一人の人!(春)  3975行目

   その時に殘る唯一人の人!  (九)

 

 

C   彼女の周囲は真っ暗闇だった          (春)  3976行目

     彼女の周圍は真闇(まっくら、とルビあり)だつた(九)

 

 

D  どっきりとしたように訊き返した(中略)だれにも絶対(春)  39717行目

      どきりとしたやうに聞き返した(中略)誰にも絕對に (九)

 

 

E   浪子さまじゃあないかしら (春)  3987行目

   浪子さんぢやアないか知らん(九)


                       

 

F       走っているうちにだんだん高じてきたのだ(春)  40313行目

   走ってゐるうちに段々昴じて来たのだ  (九)

 

 

G   裏口から出ていった         (春)  4046行目

     その間にこつそりと裏口から出て行つた(九)

     

 

H   ちょっと肝を抜かれた体で由良子の顔を見た   (春)  4066行目

     一寸度肝を抜かれた態(てい)で由良子の顔を見た(九)

 

 

I       だれかが跡を尾けてくるかもしれません(中略)お邸のほうへ(春)  4067行目

   誰かゞ後をつけてゐるかも知れません(中略)お邸のほうへは(九)

 

 

J    屋根に降りはじめた (春)  4073行目

       家の屋根に降り始めた(九)


                       

  

K   忌まわしさを感じずにはいられなかった(春)  40813行目

   忌まはしさを感ぜずには居られなかつた(九)

   

 

L       戸惑いもせずに歩いていく (春)  41015行目

     戸迷ひもせずにあるいて行く(九)

 

 

M      花子は半ば失神したような気持ちで (春)  4118行目

   花子はもう半ば失神したやうな氣持で(九)

 

 

N   浪子さまはいったいどこにいるのです(春)  4127行目

         浪子さんは一體何處にゐるんです  (九)

 

 

O     あたしをこんなにしたのはいったいだれでしょう(春)  4145行目

         あたしをこんな氣違ひにしたのは一體誰でせう (九)

         毎度毎度の疑問なれど〝気が違った〟は良くて、何故〝気違い〟はダメなんだ?


                       

  

P   そうです、あなたのお父さまです。

             (中略)ああ、その間あなたは (春)  41410行目

   さうです。あなたのお父さんです。

             (中略)あゝ、その間はあなたは(九)    

   『九州日報』のこのシーンにおける由良子のセリフは、

   ずっと〝お父さん〟になっている。

 

 


Q   黒いカーテンの中にある寝台の上に   (春)  4159行目

         黒い帳(ルビなし)の中にある寢臺の上に(九)

 

 

R   逸らそうとしても逸らすことのできない(春)  4163行目

       外らさうとしても外らす事の出来ない (九)

 

 

S   身動きすることもできないのだった(春)  41814行目

       身動きをする事も出来ないのだつた(九)

 

 

T   長い間抑えていた冷酷な残虐性    (春)  4192行目

   長い間押へに押へてゐた冷酷な、残虐性(九)


                     

  

U   あなたは気がおかしいのです (春)  42011行目

     あなたは氣が違つてゐるのです(九)

     春陽文庫414頁では〝気が違った〟を採用していたのに、

     ここでは語句改変。

   

 

V   それを寝台の下へ投げ出すと     (春)  42113行目

     それをがつくりと寝台の下へ投げ出すと(九)

   

 

W  恐ろしい拷問の備えをここへ持ってきておいたのだ(春)  42210行目

   恐ろしい拷問の場合を此處へ持つて来ておいたのだ(九)

   木澤由良子は一体いつの間にこんな不穏な物件を見つけ、祭壇まで持ち込み(?)

   母である死美人にそっくりの人形を作らせる事ができたのだろう?

 

 

X   彼女はきっと気が変になるか(春)  4239行目

     彼女はきつと氣違ひになるか(九)



Y   突然出現した人物の顔を見詰めていた(春)  4262行目

   突然出現した人物の顔を瞶めてゐた (九)

 

 

Z   それにはさすがの蛭田検事も         (春)  4265行目

     それには遉(さすが、とルビあり)の蛭田検事も(九)


                        


腹違いの姉妹によるこの対決シーンは「女妖」屈指の名場面なれど、
『九州日報』マイクロフィルムに収められた本章の挿絵はどの回も画質が粗いのが遺憾なり。



木澤由良子は父・春日龍三が母である春巣街の死美人と自分を捨てたように思い込んでいるが、春日家を勝手に出ていったのは実は死美人のほうであって龍三氏に非は無いのは御存知の通り。物心つく前に母とも離れ離れになった由良子は誰からもその経緯を聞かされていなかったため、本章のような行動に出てしまったのだろう。思い返してみると先祖の遺した莫大な財産をめぐる陰謀みたいなのはまだしも、作者を投影した複雑な家庭環境に悩まされる登場人物という、のちの横溝正史作品に顕著なモチーフが、昭和4年の時点で既にもう顔を出している。



それにしても、由良子はどうやって成瀬子爵や春日花子達の居場所を突き止めたのか。
そして数行上でも触れたように、いつの間にこんな廃屋物件を見つけ出す事が出来たのか。 




(銀) 前回の記事にて述べたように、地方新聞社へ連載小説を売り込むエージェント業を行っていた池内祥三からの依頼で、本作は執筆されたとも云われる。当時はまだ横溝正史単独のネームバリューでは新聞連載には弱いと思われており、それで江戸川乱歩との連名になったのでは、というのが世間の共通見解のようだ。確かにあの時代の横溝正史は作家というよりも編集者の身だし、それまで発表していた著書といえば聚英閣探偵名作叢書『廣告人形』の一冊しかなかったのだから無理もない。




ならば池内祥三は本作以外に、どんな作家どんな作品を地方新聞へ売り込んだのか、それが知りたい。そのエージェント業自体いつまで続けられたのか一切不明だが、戦前の間ずっと彼がこの配信業をやっていたとしたら、戦時下の横溝正史「雪割草」小栗虫太郎「亜細亜の旗」等も池内経由による作品だったのか?探偵小説だけでなく、昔の新聞に埋もれたままの小説発掘はもっと進められなければならない。




⑧の記事で、本作の執筆は原稿料の安い博文館雑誌に、どうしても乱歩に連載してもらうための資金捻出なのでは?なんて突拍子もない説を論じたが、もうちょっと普通の見方もしてみよう。本作を執筆する前年の1928(昭3)年の横溝家は長女・宜子氏が二月に誕生。第一子だし、いろいろ物入りになると思って、ここは一発新聞連載を引き受けたのかもしれない。昭和3年後半の「陰獣」では横溝編集長の猛プッシュがかなり効いて大成功したのもあるから、乱歩としても恩義を感じて自分の筆名が使われるのを黙認したのか




⑮へつづく。         




2021年9月8日水曜日

『女妖』江戸川乱歩/横溝正史⑬

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九州日報
1930年6月16日~6月29日掲載


■「奔 馬」(1)~(12)



【注意!】現在、連続企画としてテキストの異同を中心としたこの長篇の検証を行っていますが一部のネタバレは避け難く、「覆面の佳人」(=「女妖」)の核心部分を知りたくないという方は、本日の記事はなるべくお読みにならない事をお勧め致します。

 

 

【この章のストーリー・ダイジェスト】

 

▲ 「奔 馬」(1)~(12

 

引き取った幼い小夏を連れて,、綾小路浪子は巴里の公園を散歩していた。浪子が知り合いと立ち話をしていた短い間、離れて一人で遊んでいた小夏のそばに、濃いヴェールで顔を包んだ婦人が現れ、小夏の母についてあれこれと訊ねるが、浪子の気配に気付き、そそくさと姿を消す。邸に帰ろうとお抱えの馬車に乗った浪子と小夏。それを待ち受けていたかのように、浮浪人風の男が飛び出してきて、馬の耳の中へ鉛の玉を投げ込んだため、狂ったように馬車は暴走したあげく大破。浪子は病院へ運び込まれた。

 

 

春日龍三の死後、綾小路邸へ戻っていた木澤由良子は知らせを聞き、病院へ急行。浪子はベッドで横になって安静にしており、動揺の跡こそ残っていたものの腰の強打だけで大事には至らず、今回の一連の事件の裏側に隠されたる秘密を由良子にポツリポツリ語り始める。

浪子と成瀬珊瑚子爵は結託していること・・・。
河内兵部の前代未聞の財産はいかなる理由で肥大化したかということ・・・。
春巣街事件の時、浪子はあの現場に居合わせていたこと・・・。
由良子と血が繋がっている春巣街の死美人/安藤婆さん/お利枝婆さんのこと・・・。

由良子は「自分の望みはただ母の仇を討つ事だけ」と咽び泣くのだった。


                        


以下は奔 馬」の章にて春陽文庫(上段)と『九州日報』(下段)のテキストが明らかに一致しない箇所を拾い出したもの。

 

 

A   他の人に見せびらかすために(春)  36212行目

   他の人達に見せびらかす爲に(九)

 

 

B   いままでについぞ聞いたことがない(春)  3639行目

   今迄につい、聞いたことがない  (九)

 

 

C   佇んでいるヴェールの婦人は    (春)  3664行目

   佇んでいる覆面(ふくめん)の婦人は(九)

   タイトルの「覆面の佳人」とは、この女の事を意味しているのか?

 

 

D   この間までお婆さんがいたんだけど(春)  3665行目

       此間までお婆様がゐたんだけど  (九)

   この後『九州日報』でも〝お婆さん〟と表記されている。

 

 

E   まあおかわいそうな。(春)  3667行目

   まアお可哀そうね。 (九)


                      


F       白鳥が二、三羽群れをなして         (春)  3682行目

   白鳥が二三羽宛(づつ、とルビあり)群をなして(九)

 

 

G   慌てて小夏の側を離れ、   (春)  3686行目

         周章て、小夏の側を離れると、(九)

     

 

H       はっとしたようになり(春)  3689行目

         ほつとしたやうになり(九)

 

 

I    浮浪人ふうの男がいきなり(春)   3695行目

       浮浪人ていの男がいきなり(九)

 

 

J    走りつづけることだろう (春)  36911行目

       走り續けることだらうて。(九)


                      

 

K   あたら自分の尊い生命を(春)  37013行目

     あたら尊い自分の生命を(九)

   

 

L       と言った。    (春)  3711行目

   と云ふ者があつた。(九)

 

 

M       綾小路浪子さんの家のお方ではありませんか(春)  3716行目

    綾小路さんのお方ではありませんか。   (九)

 

 

N   女はさも心急ぐように相手を促す (春)  372頁5行目

     女はさも心ぜきのやうに相手を促す(九)

 

 

O   めっきりとやつれ果て、青白い頬には(春)  37311行目

       めつきりと窶れはて蒼白んだ頬には (九)


                      

  

P   胸の前で腕を合わせて叫んだ (春)  3747行目

   胸の前で腕を組み合せて叫んだ(九)    

   

 

Q     かくいうあたしも小夏ちゃんも、たぶんあなたでさえ(春)  38113行目

         かくいふあたしも小夏ちやんも多分、あなたでさへも(九)

 

 

R   不意のこの打撃で(春)  3822行目

   不意にこの打撃に(九)

 

 

S   だれだってこんな途方もない話を(中略)でもね、(春)  3826行目

       誰だつてこんな氣違ひじみた話を(中略)でね、 (九)

 

 

T   浪子さん、しばらくそうしていて(春)  38212行目

   浪子さま、暫くさうしてゐて  (九) 

       『九州日報』の本章は〝浪子さん〟だったり〝浪子さま〟だったり、

  呼び方が一定になっていない。


                     



U  どんな関係があるのです? (春)  3849行目

    どんな關係があるのですの?(九)

   

 

V  うっとりと聞き惚れていた(春)  3873行目

    うつとりと聞きとれてゐた(九)

    ここはどっちも間違っていて〝聞き入っていた〟とでもすべきだろう。


 

W  あたしもないない、(春)  3906行目

   あたしも内々   (九)

   他のあらゆる箇所もそうだけど、何故この漢字を開く必要があるのかねぇ?

 

 

X   長く続こうはずもなく(春)  3913行目

     長く續かう筈なく  (九)

 

 

Y   いつの間にやら白根星子と変えて(春)  39111行目

   何時の間にやら山根星子と變へて(九)

   この回(11)の終わりのほうの由良子のセリフでも〝山根〟になっている。

 

 

Z   あたしの母だつたのです   (春)  3943行目

   あたしのお母さまだつたのです(九)


                        


馬の耳の中に異物を放り込んで暴走させたり、
脇役の名前に○公とネーミングしたり(本作でいえば千家篤麿の召使いの黒人/安公)、
ひとつのエピソードが白熱してきたところで毎回読者を焦らすかの如く場面を他のエピソードへ転換するやり方だったり、これらはどれもその後の由利・三津木シリーズ(ジュヴナイル含む)長篇で使われるネタでありパターンでもある。



綾小路浪子はどういう事情で春巣街の事件に関わっているのかずっと伏せられていたが、この章の、木澤由良子に内情を語って聞かせる場面において一応の説明はなされた。簡単に言うと、次のクリスマスが来たらフランス政府から河内兵部に最も近い血族の子孫に対し、彼の遺した途方もない財産が返還されるという影の密約を浪子は前もって掴んでいて、その莫大なる富を独り占めしようとする者がきっと現れるであろうと睨んでいた、というのだ。



牛松とは浪子のところで昔働いていた頃からずっと主従関係が続いているので、やり手の浪子は春巣街の死美人/安藤婆さん/お利枝婆さん周辺の話を牛松から聞いていたのかもしれないけれども、白根辯造がゆすりのネタにしていた春日龍三と死美人の結婚~離婚、そして再婚の野望までも牛松は姉の死美人から聞き出し、それを浪子に逐一伝えていたのだろうか?浪子があまりにいろんな情報を知っているものだから「え? それって辻褄合ってんの?」と、つい私は疑いの目を浪子、いや作者の横溝正史に向けてしまいそうになる。




さて、ついに浪子の命までも狙ってきたヴェールの女。 残すはあと四章。




(銀) 大正末期、白井喬二の提唱で〝大衆文学〟同人親睦会「二十一日会」が立ち上げられ、探偵小説サイドからはまず小酒井不木と江戸川乱歩が参加。それと同時に機関誌『大衆文藝』も発刊する運びとなり、その編集実務専任者として平山蘆江の手引きでスカウトされてきたのが、雑誌『人情倶楽部』編集長の池内祥三だった。江戸川乱歩/横溝正史と池内祥三のコネクションはこのようにして出来上がってゆく。


                     


池内祥三なる人物について何かもっと情報はないかと手持ちの本やネットで調べてみたものの、これが意外と無くて参った。前歴の『人情倶楽部』に関しては大村彦次郎『時代小説盛衰史』に言及があったのだが、のちに池内が探偵作家の連載小説を各新聞社へ売り込むエージェント的な仕事を始める件に関しては、的を射た資料の存在が思い当たらないのだ。

池内は探偵小説界の人ではないから探偵小説関係の辞典には名前が載っていない。おそらく大衆文学系の研究書なら、どこかに載っているのかもしれないが・・・。しょうがないので『横溝正史研究3』の「横溝正史年譜事典 第3回 一九二八~一九三二)に覆面の佳人】に関する項があり、それを眺めてみよう。筆者は浜田知明。



まず最初に、〝『大衆文藝』の編集をしていた池内祥三が企画した地方紙への連載小説配信の一環で、複数の新聞に持ち回りで掲載することで、合計額がその作家の原稿料の水準に達するという商法だった。〟と、ある。なるほど地方紙は中央の大手新聞ほど高い原稿料をなかなか払えないものだから、同じ作品をいくつかの地方紙に載せる事でどうにかバランスを取る、というシステムらしい。この部分の根拠となりうる出典は何か、それをこそ私は知りたかったのだが、これも雑誌『幻影城』の岡戸武平「博文館の侍たち」からの引用?


                     


次に、当初本作はA・K・グリーン翻案だと云っていたが出来上がったものは黒岩涙香「死美人」と三津木春影「古城の秘密」を部分的に流用したオリジナル作品になった、と浜田は述べている。さらに「覆面の佳人」の犯人設定はA・K・グリーンのエッセイ「人は何故犯罪に興味を有つか」における自作「暗い穴」のものと同一ともいうが、このエッセイが載っている『新青年』の大正十一年夏季特別増刊号が私の手元になくて、言ってる意味がいまいちわかりにくい。グリーン女史のエッセイの中で彼女の作品「暗い穴」について触れている、という事か?



ともかく、正史がその「暗い穴」という作品の原書を入手する前に「覆面の佳人」を見切り発車させてしまい、原書の入手後に改めて本作の筋を(翻案らしく)軌道修正するつもりでいたら、結局のところ原書を入手できなかったのでは・・・というのが浜田の推測だった。
あと、書いておきたい事がもう一点ある。本作は1929(昭4)年5月にまず『北海タイムス』で連載され、二度目の新聞は『満洲日報』に1930(昭5)年1月28日に連載開始、『九州日報』はその次という事になる。(『満洲日報』連載については『名張人外境』2006年2月14日人外境主人伝言録に記述あり)



ところが浜田によれば茨城ローカルの新聞『いはらき』にも本作は掲載されていたそうで、その際タイトルは「幽霊別荘」に改題されたそうな。ここに第四の掲載紙が出てきた訳だが、残念ながら『いはらき』での連載開始日が明記されていない。こういうところにユーザーの利便をよく考えている中相作とそうでない浜田知明との違いが如実に現れている。



⑭へつづく。


                             


2021年9月4日土曜日

『葬られた女』鷲尾三郎

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東都我刊我書房 善渡爾宗衛(編)
2021年8月発売



    テキストの校正をここまで無視して
          発売された新刊を私は見たことがない




表題作長篇「葬られた女」は顔の無い屍体こそ出てきても結局はアクション・スリラーじゃんとか、併録された短篇「嵐の夜の女」は犯人の殺人方法こそちょっと面白いけどさあ・・・とか、悠長に収録作品の紹介をする気持ちさえも沸いてこない。先月出た『Q夫人と猫』よりも更にテキストの入力ミスが増加していて、擁護のしようがない。これで定価が5,000円・・・いや値段が安けりゃミスしていいってものでもないが



編者・善渡爾宗衛は〝凡例〟の頁にて、「文章(小説)について、基本的には、執筆者のものでありますから、いたずらに文章破壊をしないために、初出誌にそって、統一などはしていません。」と謳っている。要するに見識の無い出版社みたいにテキストをいじりまくる事などせず、底本の表現を尊重すると言っているように私には受け取れる。だが・・・。

 

                   


そりゃあね、善渡爾は私のBlogなど見ないだろうから、前回の『Q夫人と猫』の記事に書いた文章にしたって氏に伝わる筈など無いのは百も承知だし、〈鷲尾三郎傑作撰〉が『Q夫人と猫』のあとにまだ何冊か出る予定だとしても、既にテキスト入力作業は全て終わっていて早々と原稿データを製本会社へ回していたとしたら、『Q夫人と猫』に近い頻度の恥ずかしい誤字は回避できないだろうなあ、とは思ってたよ。

 

 

東都我刊我書房というレーベル名が付く時には盛林堂ミステリアス文庫とは異なり、その新刊本は善渡爾個人の意思で制作されているんだったっけ。だからって、本の販売窓口になっている盛林堂書房店主の小野純一とか誰でもいいけど、善渡爾にアシストしたりアドバイスしてあげる人は周囲にひとりもいないのだろうか?ありえない数のテキスト入力ミスでこんな誤字だらけの本になっていて、でもそれは打ち込んだ原稿を当り前にチェックしていれば、それなりに防げそうなものだろ?

論創社『幻の探偵作家を求めて 完全版』の時も感じたけれど、探偵小説の新刊を買う人々がひどい作りの本を読んでも何も感じず何の疑問を持たず黙認しているのは何故?制作側も読者も揃って〝あきめくら〟しかいなくなってしまったのか。

 

                    


今やってる「女妖」のテキスト・チェックと違って徒労感しか湧かない指摘なんてできれば書きたくないけれども、若狭邦男の著書がずっとマシに見えるほど本書は入力ミスが多過ぎるから、読んでいない人にも体感できるように示さなければ、第三者にはきっと伝わるまい。一体どうなっているのか状況を正しく伝えるため、心を鬼にして書かねばならぬ。

 

 

 「りゅうとした」(○) → 「りゅとした」(✕)  8頁上段

これくらいの誤植なら底本である当時の雑誌(昭和30年代の『探偵実話』)に存在しててもおかしくはない。だが以下に列挙した誤字はどれも不注意な入力ミスとしか見えず、本書の制作者が底本そのままの表現や作者の癖を意図的に活かしているからとは到底思えない。

 

 

「大成することの出来る」(○) → 「大成することの出る」(✕)  26頁下段

 

「支配人室にいましたの」(〇) → 「配人室にいましたの」()  28頁下段

 

「ご馳走しましょうか?」(○) → 「ご走しましょうか?」(✕)  30頁下段

 

「しのぶは給仕に」(○) → 「しのぶは仕に」(✕)  35頁上段

 

「地下鉄が通うように」(○) → 「地鉄が通うように」(✕)  41頁上段

 

 


「ゴールデン・スター」(○) → 「ゴー・スター」(✕)  56頁下段

 

「良心の呵責」(○) → 「良心の責」(✕)  58頁上段

 

「ぼくとあなたのご主人」(○) → 「くとあなたのご主人」(✕)  65頁下段

 

「彼女の死を哀れんで」 → 「彼女の死をれんで」(✕)  67頁下段

 

「かたくなに口を閉じ」(○) → 「かたくなにを閉じ」(✕)  74頁上段

漢字の〝口(くち)〟であるべきところが、カタカナの〝ロ〟になっている。

 

 


「千円札を握らせて」(○) → 「千円札をらせて」(✕)  74頁上段

 

「砕かれていたうえに」(○) → 「かれていたうえに」(✕)  75頁下段

 

「突飛」(○) → 「飛」(✕)  76頁下段

 

「昨夜使用された」(○) → 「昨夜便用された」(✕)  91頁上段

 

「あなたに警告して」(○) → 「あのなたに警告して」(✕)  94頁上段

 

 


「クラブ」(○) → 「クブ」(✕)  101頁下段

 

「なぐり倒されて」(○) → 「なり倒されて」(✕)  118頁下段

 

「葉巻を吸う外人」(○) → 「巻を吸う外人」(✕)  171頁下段

 

「啓介は不機嫌な表情で」(○) → 「啓介は不嫌な表情で」  200頁上段

 

「五味が経営している」(○) → 「五味が経している」(×)  223頁上段

 

 

書いててもやるせないほどに間違いは数え切れない。おそらくこれらのテキスト入力ミスは善渡爾宗衛本人が仕出かしてしまったものに違いない。



なぜなら底本を用いて入力作業をしてゆく本文のみならず、編者自ら書いているはずの〝凡例〟でも「テキストの細部につましては」(〝つきましては〟の間違い)となっていたり、末解説〟では「ハードボイルドボイルド調」(〝ボイルド〟が重複)になっていたり、同じような入力ミスをやっているからだ。〝凡例〟と〝解説〟まで協力者に代筆してもらっているなんて考えにくい。


                   



善渡爾宗衛は〈鷲尾三郎傑作撰〉の三冊目以外に、その他の本も近日発売を予告しているが、この様子では、次も必ず同じあやまちを繰り返すのは残念ながら明白。氏は相当高齢の人だと私は想像しており、老化による視力・思考力の低下なのかどこか体調が悪いのか分からないけれど、これだけはハッキリしている。現在の氏は本のテキスト入力や校正を遂行できるコンディションではない。ちょっと前までの氏の本では、こんなミスはしてなかったと思う。




(銀) 知人から聞いた話だけど、海外ミステリ同人「Re-Clam」が最近出した新刊、クライド・B・クレイスン『ジャスミンの毒』の訳に不備があるという指摘があったそうで。私はその本を持っていなくて、不備や指摘がどういうものなのかも知らない。



それでも「海外ミステリ愛好家はまだ健全なのかな」と思ったのは、その本の翻訳者にしても「Re-Clam」の主宰者にしても、読者に対してすぐにお詫びのコメントを出していた事。つい誰にでもやってしまう不手際はある。そんな時は彼等のように一言なりとも発信し、今後同じ過ちさえ犯さなければそこまで大きな汚点にはならないだろう。それに比べたら海外ミステリのファンとは人種がだいぶ異なるのか定かではないが、日本探偵小説の周辺は腐っている。



今日述べてきた本書の「No 校正、No チェック」で最大の被害者は、我々購入者ではなくて鷲尾三郎の著作権継承者かもしれない。血族の遺した作品をこんな扱いにされてしまったのだから。本書の不手際は「同人出版だから暖かく見守りましょう」なんていう生ぬるいレベルではない。



今日の「女妖」はお休み。



  

2021年9月2日木曜日

『女妖』江戸川乱歩/横溝正史⑫

NEW !

九州日報
1930年6月3日~6月15日掲載



■「恐怖の別荘」(1)~(13)




【注意!】現在、連続企画としてテキストの異同を中心としたこの長篇の検証を行っていますが一部のネタバレは避け難く、「覆面の佳人」(=「女妖」)の核心部分を知りたくないという方は、本日の記事はなるべくお読みにならない事をお勧め致します。


【この章のストーリー・ダイジェスト】

 

▲ 「恐怖の別荘」(1)~(13

 

霧の夜、牛松を運河へ投げ込んでお兼の窮地を救ったのは、彼女の実の父親・庄司三平だった。三平とお兼は離れ離れだった長い年月を埋めるべく、郊外の村で親子水入らずの生活を始める。だがその村には千家篤麿の例の邸があり、牛松がなぜか庭師として働いていた。彼は生きていたのだ。お兼はその事を父から注意されたけれど、一度は自分を殺そうとした男であれ、情夫の事が忘れられず夜更けに篤麿の邸へ単身忍び込む。

同じ頃、春日花子の閉じ込められている秘密の部屋の窓を叩く者が。篤麿の召使いの黒人・安公とは、花子が夢にまでみた成瀬珊瑚の身をやつした姿であった。

 

 

篤麿が綾小路邸から花子を連れ出した際、成瀬子爵はずっと彼らを尾行しており、この邸の召使いとして黒人に化けて潜入すると、花子奪還のチャンスを伺っていた。遂に機は熟し、子爵は花子を救出せんと行動に出たが、その時、部屋に仕掛けられていた怖ろしき装置が作動し始める。

一方、自室で眠っていた千家篤麿も自分以外の人間が花子のいる部屋の処刑装置を動かしているのに気が付いた。最初から花子を殺すつもりなど無い彼は秘密の部屋に続く地下道へ急ぎ、闇の中で何者かに出くわすが、そいつは篤麿に手傷を負わせてまんまと逃げ去った。成瀬子爵と花子を亡き者にするべく処刑装置を作動させたのは誰?

 

                        


以下は恐怖の別荘」の章にて春陽文庫(上段)と『九州日報』(下段)のテキストが明らかに一致しない箇所を拾い出したもの。

 

 

A   だんだん近づいてくるにつれて(春)  32710行目

   段々近づいてる来につれて  (九)

    『九州日報』は〝近づいて来る〟とすべきところを、〝来〟と〝る〟が逆の誤植に。

 

 

B   自分にはつれなかった男だが(春)  32912行目

     自分には無情(〝むじょう〟と書いて〝つ〟とルビあり)れなかつた男だが(九)

 

 

C   細い肩に纏っているショール (春)  3325行目

     細い肩にまとうてゐるショール(九)

   

 

D   舞踏会のあった夜起こった、あの恐ろしい事件(春)  3353行目

       舞踏會のあつた夜起(おこ、とルビあり)した、あの恐ろしい事件(九)

   

 

E   自分があの恐ろしい罪を犯したのか (春)  3355行目

   自分があの恐ろしい犯罪を犯したのか(九)


                      


F       その罪を被(かぶ)せられているのか(春)  335頁 6行目

     その罪を被(き)せられているのか (九)

 

 

G   自分の生命を取りに来るのではないだろうか(春)  33516行目

         自分の命を取りに来るのではないだらうか (九)

     

 

H   いまにもガラスが壊れそうである(春)  3372行目

       今にもガラスが毀れさうである (九)

 

 

I    そっと錠を外した(春)  3377行目

         そつと鍵を外した(九)

 

 

J        見るも醜い黒人に姿をやつして (春)  33811行目

    見るも醜い黒ん坊に姿をやつして(九)

      黒人に対して〝醜い〟だの〝無気味〟だのと、昔の人の偏見は酷い。

      R&B好きの私からしたら、こんな偏見が未だに残っているという事が信じられない。


                      

   

K       下へさえ下りればもうこちらのもの(春)  3396行目

         下へさへ降りればもうこちらのもの(九)

   

 

L       わたくし恐ろしいことなんか少しもありませんわ(春)  3398行目

       あたし怖ろしいことなんか少しもありませんよ (九)

 

 

M   眼前に開けた暗闇(春)  34014行目

         眼前に展けた暗闇(九)

 

 

N   篤麿は急いで床から飛び出すと(春)  3453行目

       篤麿は急いで外から飛び出すと(九)

     篤麿も就寝タイムだったようなので〝外から〟というのは明らかに間違い。

 

 

O   駆け寄ってその扉を開いた (春)  3455行目

       かけて寄つてこの扉を開いた(九)


                      

 

P   ボタンを押すと書棚が静かに動いて (春)  3467行目

   ボタンを押せば、書棚が静かに動いて(九)    

   

 

Q    しなやかに縮んでいくではないか (春)  34810行目

        しなやかに縮んで行くのではないか(九)

 

 

R   篤麿はあっとばかりに跳び退いた          (春)  34812行目

       篤麿はあつとばかりに跳起(はねお、とルビあり)きた(九)

 

 

S   風のように穴の向こうへ消えていった(春)  34816行目

   風の様に孔の向ふの方へ消ゑて行つた(九)

   この地下通路シーン、『九州日報』は〝穴〟ではなく〝孔〟と表記している。

 

 

T   失神した花子の耳もとで大声で叫んだ(春)  3524行目

   失神した花子の耳許で大聲に叫んだ (九)

   失神した事になっている花子が、

   9行目では「あッ、あたし・・・」と言葉を発している。

   例によって春陽文庫では〝あたし〟が〝わたくし〟になってるし。 

 

                        


U   窓から半身を乗り出すようにして           (春)  35311行目

     窓から半身(はんしん、とルビあり)乗り出すやうにして(九)

       春陽文庫にはルビが無いが〝はんみ〟と読ませたかったのだろう。

 

   

V   まだよく呑み込めないように(春)  35415行目

   まだよく嚥み込めないやうに(九)

  


W  無念や彼らはまたしても(春)  3571行目

   残念や、彼等は又しても(九)

 

 

X   大地も揺るがすばかりの音響   (春)  3593行目

     大地も揺(ゆる)がんばかりの音響(九)

 

 

Y   敵味方ともに廊下へ投げ出された (春)  3594行目

   敵味方共に廊下の上へ投げ出された(九)

 

 

Z   その計画を横から破ろうとしているのだ  (春)  35914行目

       その計畫を横から打ち破らうとしてゐるのだ(九)


                        


最初のうちは頭を抱えて悩んでいた成瀬珊瑚だが綾小路浪子にハッパをかけられたのか、別人のような活躍ぶりで恋人の花子嬢をついに救出し、いよいよ物語も先が見えてきた。それはいいとして、この章は謎の要素がだいぶ明かされる代わりに突っ込みどころも沢山。⑦「犯人は?」の章でちょっと触れたけれども、千家篤麿周辺の設定には問題が多くてさぁ。



 「犯人は?」の章にて初めて描写された花子の幽閉部屋というのは、本邸の離れにある古城のような昔の建物とは書いてあったけれど、いつの間にか本章では、窓から地面までの高さが十数尺もある位置になっている。安公、いや成瀬子爵は危険を冒してその高い外壁を縄梯子で登るぐらいなら、今迄召使いとして花子に食事を運んできていたのだから屋内から助けに行けばいいのに。この部屋の鉄の扉の鍵は常に篤麿が管理しており、食事を運ぶ際にも常に監視されていて、子爵単独では勝手に鍵を持ち出せなかったのかしらん。



 別荘地であるこの村に千家篤麿が移り住んでから、まだ日が浅い。成瀬子爵が篤麿の棲み処はこの邸だと知ったのは、篤麿と花子を乗せた馬車を尾行した時。子爵は警察のお尋ね者として追われている身なのに、ムチャして黒人に化けたとはいえ、よくもまあいきなり信用されて篤麿に雇ってもらえたな。



他にも「なんでこの邸にはこんな物騒な処刑装置が昔から設計されていたのだろう?」とか言い出したらキリが無いからこれくらいにして、後はそれぞれ御自身で確かめて頂くとしよう
で、大団円も近付いてきてるし本作のタイトルについて今一度考えてみたい。「女妖」or「覆面の佳人」・・・どちらも、その象徴するものはオンナ。ということは・・・?  





(銀) 本作について、もっともリアルな情報を後世に残してくれたのは岡戸武平。その内容は春陽文庫の解説でも紹介されている。小酒井不木の助手だった岡戸武平は、不木の死をきっかけに『小酒井不木全集』を編集する事となり、同じ昭和4年の8月博文館に入社、『文藝倶楽部』編集長・横溝正史のもとで働き始める。『不木全集』の版元は博文館ではなく改造社だったのに、二つの仕事をよく両立できたものだ。8月といったら『北海タイムス』で正史が「覆面の佳人」の連載を開始して三ヶ月経った頃か。  



江戸川乱歩とは旧知の仲だったのもあって、彼の豆本『不木・乱歩・私』を紐解いてみると、『文藝倶楽部』の「猟奇の果」連載時などには乱歩の原稿催促係をやっていたという。この豆本の中にも本作について何か書いてなかったかなと期待したが、大ネタは無かった。
強いて挙げるとすれば、この部分。


〝 江戸川乱歩の代筆は、忘れた頃に印税が入るので大いに役立った。
これはもう時効になっているから発表してもいいと思うが、
講談社発行の児童向きの「鉄仮面」と、
新潮社が書きおろし全集として出した探偵小説集である。〟 


ここに本作が含まれていなかったのは残念。というのは、横溝正史が一人で書いたにしては本作の文章はあまりに杜撰だし、「博文館の中で岡戸武平も書くのを手伝っていたのでは?」と秘かに疑っていたからである。新潮社の書き下ろし全集とは言うまでもなく「蠢く触手」の事なり。



正史の本作執筆は遅れがちだったそうで、博文館に出社すると先ずは本作に取り掛かる。その様子を眺めていた岡戸武平は、正史がノートに控えなども取らずドンドン続きを書いていくものだから「頭のいい人だナ」と感心したらしいが、正史とてまだ若く遊ばずにはいられない20代だし本業の編集仕事もあるから、腰を据えて本作に取り組まなかったのが惜しまれる。



⑬へつづく。