2023年4月25日火曜日

まんだらけのパンフレットごときで追悼を済まされては池田憲章が気の毒

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【怪獣/特撮/アニメ】の研究家/ライターだった池田憲章が昨年の秋に亡くなった。享年67。中野サンプラザで開催される「資料性博覧会」というサブカル同人誌の即売会があるそうだが、それの公式パンフレット『資料性博覧会16』が池田憲章の追悼特集だというので入手してみた。

 

 

82ページのうち2/3は「池田憲章追悼文集」と銘打ち、46名の追悼文を掲載。【怪獣/特撮/アニメ】界の人脈を殆ど存じ上げないので、桜井浩子/林海象/鈴木敏夫などごく一部の著名人以外は何をなさっている方々なのか不明。池田を追悼するとなると、こういう人達ばかりになるのか、ふーん。頻繁に言及される『ファンタスティックコレクション空想特撮映像のすばらしき世界 ウルトラマン/ウルトラセブン/ウルトラQ』はうちにも昔あったけれど、ここで展開されている〝いい歳して子供向きのアニメや特撮に心酔するオタク集団〟のノリにはついていけず。後半1/3は、「PUFFと怪獣倶楽部の時代 特撮ファンジン風雲録」と題した池田の自分史(第一部)そしてインタビュー(第二部)。この界隈に疎い私には若干読みづらさも感じた。

 

 

晩年の池田は脳梗塞で倒れ不自由を強いられていたらしい。それまではハンパなく電話が長かったり筆まめだったりと非常に話好きだったようだし、こんな大病を患ってしまった日には他者とのコミュニケーションが取れなくてつらかったろうな。私の関心が向かない業界の事が書かれていて「なるほどな」と勉強になる反面、池田憲章という人はどうも多方面に興味が向き過ぎて、口だけに終わるというか企画倒れで消えていったアイディアは途轍もなく多そう。

 

 

探偵小説に関する範囲でいうと海野十三や香山滋あたりに池田のコントリビューションがあったのだが、本誌の中でその手の話題に触れられている箇所は少なすぎて、殆どゼロに等しい。海野十三読本も幻のまま終わってしまった。海野といえば、本誌の追悼文集にどうして北島町立図書館・創世ホールの(というか先鋭疾風社の)小西昌幸の名がないのか、それが納得いかない。私からすると池田憲章の知友といえば何をさしおいても小西昌幸なのに、本誌の編者は徳島の小西に連絡を入れたのだろうか?それとも小西の存在を知らなかったのか。だとしたら失礼な話だ。

 

 

それよりも今回の追悼特集をバックアップしてるのがまんだらけって・・・盗品販売の噂もあり森英俊や盛林堂書房周辺とズブズブな関係で、当Blogでも再三批判しているNo 校正/No 校閲の同人本を売りまくり、それらの販売価格は定価の上に更に消費税を乗せているという悪徳業者のパンフレットという形で出される事に私は最も疑問を抱く。そりゃあまんだらけは【怪獣/特撮/アニメ】に限らずサブカルオタにとっての聖地さ。しかし私みたいな門外漢が言うのも何だが池田憲章って大伴昌司や竹内博の系列に連なる、功績ある人なんじゃないの?だとしたら、まんだらけのパンフなんて薄汚れたやり方じゃなくて、(仮に同人出版でしか出しようがなかったとしても)もっとしっかり後世に伝えられるような本を何故作らないのか?

 

 

 

 

(銀) 池田憲章ワークスの中で個人的にひとつ挙げるとしたらコレ。   

       

当然この本も『資料性博覧会16』の中では一言もふれられていない。「新八犬伝」本も実現せず誠に残念でならぬ。