♠ 書誌的な話から本日は始めよう。今世紀になって楳図かずお作品のスペシャルな愛蔵本(=Umezz Perfection!)が出た。今のところ最後の長篇になっている「14歳」も2012年にUmezz Perfection!版が発売され、いつ頃初版が売り切れてしまったのかわからないが2022年の「楳図かずお大美術展」の開催に合わせ第二刷出来。だから、現在新刊書店に残っているものはすべて第二刷。
何故そんな話をするかというと初版発売時には帯に応募券が付いており、Umezz Perfection!『14歳』全四巻購入者には特典として『漂流教室創作ノート』がプレゼントされていたんです。それ知らんかったから私は最近になって第二刷で買い揃えました。で、愛蔵本なのに第二刷は帯がもれなく付いていない。まあプレゼント企画をやっていたのは初版時の期間限定で応募がもうできないのは諦めるとしても、愛蔵本なんだし応募券が印刷されていない帯を作り直して本体に巻き直してもいいんじゃないの?と思う訳。というのは第二刷は初版より1,000円ほども価格が高くなり(!)第二刷ってどんだけ少部数しか刷ってないんじゃ!! と小学館に問い詰めたい気分だから。
Umezz Perfection!のブックデザインは祖父江慎+吉岡秀典が担当、既刊作品は装幀があまりにも凝りすぎというか勇み足で楳図ファンからブーイングが出ていたらしいが、『14歳』の装幀に関して極端に「やだなあ」と思うことはない。ちなみにVolume.1が852頁で、Volume.2が944頁、Volume.3になると1264頁、Volume.4が1203頁。並みのぶ厚さではないから「読みにくいわい」と文句言う人がいるそうだけど、これも私はそこまで気にならない。確かにハードカバーじゃないから、扱いには気を付けないと表紙のカドを折り曲げてしまいがちではあるけれども。一点だけ許し難い事といえば帯が無いのにプラスして、カバーが通常のコミックスのようなコーティング加工がされておらず「コピー用紙みたいじゃん!」と揶揄されるような紙質で、特に問題なのがカバーの背の部分。四冊並べた画像をお見せしましょう。
ホラ、カバーの背に惹句なんて入れるものだからかなりダサい。本体はよく出来てるのに、ここだけが惜しい。
♠ いつもならばその本のおおよその筋は紹介しているけれど、本作の超ド級にスペクタクルで混沌としたストーリーを文字にしても薄っぺらいだけだから、各章題だけ記しておく。
Volume.1
第1章 チキン・ジョージ 第2章 緑の髪の少年
Volume.2
第3章 不老不死の血 第4章 地球重態
私は本作のコミックスを買っておらず『ビッグコミックスピリッツ』連載時しか読んでないので三十年ぶりの再読となる。やっぱUmezz Perfection!版 Volume.1の収録部分、つまりチキン・ジョージの誕生そしてマッド・サイエンティスト化、そしてグランド・マスター・ローズが登場してくるあたりが最も鮮明に記憶に残っていた。初版のUmezz Perfection!版 Volume.2は14頁と15頁が手違いで入れ替わっていたそうで、正しい頁順にこだわるのなら第二刷のほうがいい。要するに帯が欲しいからといって古本の初版に手を出すとそういう落し穴がある。しかも他の作品のUmezz Perfection!版より、『14歳』の帯付き初版全巻古本セットは中古価格が高く付けられていることが多い。そんな理由から結局私は新品の第二刷を入手したが、今から買おうとする方は自分が何を優先したいのか、よく考えた上で購入しないとあとで後悔するかも。
(銀) 「14歳」は小学館文庫版が今でも現行本として流通してるし、初刊のビッグコミックス版を古本で全巻揃えて読む手もあるのだが、どんなに価格が高くどんなに本の束がぶ厚くとも、Umezz Perfection!版で読むべきメリットがある。それが何かは次回の記事にて語るとしよう。②へつづく。