2022年1月18日火曜日

左川ちか問題にて馬脚を露わした盛林堂書房周辺の本造りに対する姿勢

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盛林堂書房は自らの通販サイト「書肆盛林堂」より115日に発売する筈だった同人出版の新刊『左川ちか文聚 左川ちか資料集成・別巻 詩歌・譯詩・散文』について、「版元(えでぃしおん うみのほし)からの依頼により販売開始延期となりました」との告知をTwitterにて行った。これは左川ちか研究者であり、福岡の書肆侃侃房より2022年に発売が予定されている『左川ちか全集』の編纂者でもある島田龍が自らのアカウントにて、盛林堂を販売窓口とする左川ちか本のテキスト内容について疑義を呈した事に端を発している。




盛林堂が制作もしくは販売する日本探偵小説の関連書籍、その中でも特に〈東都我刊我書房〉名義の善渡爾宗衛主導で最近制作された鷲尾三郎本三冊のあまりにも酷いテキスト入力が許し難かった私としては「やっぱり、そうだったのか」と頷いてしまう到底見過ごせない問題であるし、本件がなし崩し的に流されてしまうその前にキッチリ発信しておきたかった。(鷲尾三郎に関する記事は、画面右側ラベル一覧の下の方に位置する「鷲尾三郎」の文字をクリックして読んで頂ければ幸いである)

 

 

 

まずは渦中四名のTwitter上での主な発言の数々を見てもらうとしよう。ここでは原文そのままではなく要旨を整理して紹介しているけれど、本当なら全てありのままの発言を見て、何が正しいのか判断してもらうのが一番好ましい。ちなみに当Blogでは殆ど敬称略しており、この記事でもそのように表記しているので念の為。

では島田龍Ryusankun『左川ちか全集』今春刊行@donadona958から。


A-1

自分(島田龍)の調査する限り、盛林堂書房がこの数年同人出版してきた左川ちか詩集はどれもテキストにやたら問題が多い。


A-2

盛林堂が過去に発売した左川ちか詩集のうち、『左川ちか資料集成 The Black Air:Collected Poems and Other Works of Chika Sagawa』(2017年刊)に資料を一部提供した以外、自分(島田)は一切制作に関わっていないのに、『新編 左川ちか詩集 幻の家』(2019年刊)『左川ちか資料集成 増補普及版』(2021年刊)の協力者クレジットの中に自分(島田)の名が無断で記載されていた。


A-3

2019年に誤りの指摘を発表したら(盛林堂)関係者のO氏〟から「編者でもない人間が勝手に指摘することなど越権でありえない」と猛抗議を受け、一度は取り下げた。しかし2021年の本でも誤りは訂正されていなかったので再度誤りの数々を指摘発表したら、これまた前述の〝O氏〟から抗議を受けた。


A-4

昨年(2021年)自分(島田)が校訂を担当する左川ちか詩集文庫出版の話があったが、その出版社にも脅しと圧力がかけられ、結局企画は潰された。



他にこのようなツイートも。これらはTwitterの画像をそのまま御覧頂く。

A-5

 


 

 







対する盛林堂サイドからの反論ツイート。


BCのツイートは誤字だけでなく読みにくく解りにくい所があり、同じ事の繰り返しも多いので私(銀髪伯爵)が⦅注⦆を入れたり訂正をしたり、第三者にも読み易くしている。
最初は問題の中心人物 善渡爾宗衛/よしとに@onedaba



B-1

『左川ちか文聚 左川ちか資料集成・別巻』を出しているのは〈えでぃしおん うみのほし〉であって、一度も「書肆盛林堂」から刊行したことはなく委託をお願いしてるだけ。⦅注/このツイートの最後には〈紫門あさを〉と記名がある。(銀)⦆

 

B-2

『変奏曲』も『幻の家』も『左川ちか資料集成』も全部〈紫門あさを〉の編纂だし、『左川ちか文聚 左川ちか資料集成・別巻』にも訂正を入れている。誰かに何か言ったこともなくて集成の資料もほとんど一人で集めた。⦅注/『変奏曲』ではなく『前奏曲』の間違いでは? (銀)⦆

 

B-3

左川ちかは誰のものでもない。パブリック・ドメインなのだから独占しちゃいけない。⦅注/ここでも〈紫門あさを〉の発言である事を示す記名あり。(銀)⦆


B-4

(銀) ここは私(銀髪伯爵)の発言というか解釈だけども、下の画像を見ると『左川ちか文聚』の発行元が〈東都我刊我書房〉になっていて、しかも善渡爾宗衛のアカウント上で〈紫門あさを〉が発言しているのだから、善渡爾と〈紫門あさを〉が同一人物なのは明白。










 

つづいて、りき@onozukarikiこと小野塚力。

 

C-1

発行は〈えでぃしおん うみのほし〉であり、盛林堂は単なる販売委託先。

 

C-2

「正確なテキストを」という主張をする前の段階で版元誤認というのがあり、販売をお願いした先の盛林堂に向けて、制作の精度を中心とした論議提起以外の話になっている。

 

C-3

所感ではあるが、現物を確認し具体的な指摘を伴った話題提起ではなく、未見状態での論議開始に違和感がある。いささか主観的かつ過激な表現をまじえた一連のツイートが版元と販売委託先を勘違いしたまま話が進んでいる。巻き込まれた盛林堂のことを考えると頭が痛い。⦅注/このあと〈版元誤解〉〈勘違い〉〈過剰な表現〉といった同じ内容の発言が繰り返されている。(銀)⦆

 

C-4

島田龍のツイートは自分りきをブロックしてから開始されている。冷静な対応とは思えない。




 

 

 





最後に盛林堂書房店主・小野純一/盛林堂書房@seirindou

         

D-1

「書肆盛林堂」では当店刊行物以外にも様々な同人誌の取扱い(委託販売)を行っている。『左川ちか文聚 左川ちか資料集成・別巻 —詩歌・譯詩・散文—』についても、〈えでぃしおん うみのほし〉の刊行物であり「書肆盛林堂」の刊行物ではない。また、今まで左川ちか関連本を「書肆盛林堂」で刊行したこともない。      




 

 



D-2

(銀) B-4同様、ここも私(銀髪伯爵)の意見で恐縮だが、臆する事が何も無いのならばどうして彼らは『左川ちか文聚』を販売開始延期に?そして「書肆盛林堂」の制作・刊行した本でなければどうだというのだ?「テキストにいくらミスがあろうが我関せず」とでも言いたいのだろうか?「今後このような不手際がないよう当店から版元へ申し伝えます」ぐらいの、気の利いたお詫びの一言さえ浮かばないのかねえ。




以上、私(銀髪伯爵)のコメントはともかく、このやりとりを読んで貴方はどう思いましたか?




左川ちかは私の興味の対象ではなく、島田龍のお名前も今回初めて知ったぐらいの門外漢ゆえ、過去に盛林堂経由で発売されてきた左川ちか本のテキストにはどんな問題があるのか、細かい点について自ら発言できるほどの知識を私は持ち合わせていない。また、島田龍からの誤り指摘に対し猛抗議をしたという〝O氏〟についても、そのイニシャルから小野純一もしくはりきの事だろうなと推測はできるが、抗議内容の原文を見てないし、また某出版社左川ちか文庫企画に横槍を入れたという件にしても島田龍のツイート以外に事実を確かめるすべが無いから、これも静観すべきと考えている。




自分のことで言えば、普段買って読んでいる盛林堂の制作販売した日本探偵小説書籍において、冒頭でも述べたとおり鷲尾三郎本があそこまで校正ゼロの酷いテキストにされていなかったら、今回左川ちかの件に関してこのような記事を書く事もなかったろう。確かに「書肆盛林堂」サイトからは色々な同人出版の本が販売され、委託販売も多いのが実情。私がいつも買っている盛林堂の日本探偵小説書籍には〈盛林堂ミステリアス文庫〉〈東都我刊我書房〉といった具合にレーベル分けがされてあって、以前も書いたとおり前者は小野純一主導、後者は善渡爾宗衛主導で制作しているのも知っている。

それゆえに確信を持って言えるけれど、レーベル名を〈えでぃしおん うみのほし〉にしたり編者の名を〈紫門あさを〉と名乗ったり、まるで別の人がやった仕事のように振舞っているけれど、左川ちか本のテキスト問題も私が散々このBlogで言ってきた鷲尾三郎本のテキスト問題も根幹はすべて一緒で、結局善渡爾宗衛の仕事の杜撰さから来ているのではないのか?

 

 

 

専門家の島田龍が盛林堂の発売してきた左川ちか本に対して、(それらの責任が誰にあろうと)問題点をわかりやすく一覧にまとめている以上、それは言い逃れのできない事実だ。ネットで探せば「左川ちか資料集成・覚書」という pdf が簡単に見つかるので、それを見てもらいたい(本当はここにもupしたかったが一応遠慮した)。上記B善渡爾島田に「版元誤認」という文句ばかり繰り返し、Cにおけるりきのツイートも「現物を確認し具体的な指摘を伴った話題提起ではなく」などと言っているが、どうもこの二人の言動は問題をすり替えようとしている風にしか見えない。        

 

 

 

そして盛林堂の店主・小野純一もしかり。小野もまた善渡爾宗衛主導の〈東都我刊我書房〉は盛林堂刊行物ではないと言い張っているが、レーベルは別個とはいえ小野善渡爾はいつも新刊本制作でお互い協力し合っている間柄なのに、今回の場合〝『左川ちか文聚 左川ちか資料集成・別巻 —詩歌・譯詩・散文—』は「書肆盛林堂」の刊行物ではない〟なんてまるで他人事みたいな物言いがよくできるものだ。ヒラヤマ探偵文庫の本や『「新青年」趣味』なら盛林堂人脈が制作に絡んでない完全な委託だとこちらも断定できるけれど、善渡爾宗衛が自分のアカウントで宣伝し「書肆盛林堂」サイトで販売している同人出版本に「自分は全く関係ありません」などとシレッと言えるその神経がとても理解できぬ。まことに探偵小説のギョーカイは狂っているというしかない。




(銀) 私が長年「どうも信用できない」と言い続けてきた盛林堂書房周辺の本造りの姿勢を、古本キチガヒや探偵小説好きな輩は盲目的に有難がっているだけなのに対し、左川ちかのシンパの人達が正しくシビアな目で見ていたというのが皮肉でもあり面白い。私以外にも見ている人達はちゃんと見てるんだな。ま、つまるところ盛林堂書房周辺の人間はユーザーをナメきっているというのが結論だろうよ。