やることがいろいろ立て込んでいて、新刊本の消化が全然できていないから、今回は軽めのネタで。当Blogにおける2020年10月21日『大衆文化 第二十三号』の項で紹介したように、『センター通信』というのは立教大学の江戸川乱歩センターが年1回発行している約12ページのフリーペーパーである。雑誌『大衆文化』同様、記事の内容は乱歩ばかりではなく、ジャンル的に近いもの、あるいは何の関係も無いものまで様々。さて本号はというと___。
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建築史・都市史的視点からみた旧江戸川乱歩邸 石榑督和
立教大学は旧乱歩邸について2020年秋から建物の歴史的調査を行う事になったんだと。ふーん。筆者は東京理科大の人だが、立教サイドから声を掛けられてプロジェクトに参加しているそう。私は建物はどうでもいいというか関心が無いけれども、都市史にまつわる何らかの発見があるといいね。なにより立教大/乱歩センターの発行物で、特に旧乱歩邸への言及となれば、即座に「また〝幻影城〟とか、いつものデタラメ言ってんじゃねーのか?」と冷たい視線を投げ掛けるところなれど、そんな誤った表現もなくて平穏無事だった。
旧乱歩邸土蔵を〝幻影城〟などとのたまっているのは藤井淑禎と渡辺憲司みたいな老害だけで、大学の若い人達は誰ひとりそんな呼び方してないんだよな、実際。あの土蔵を〝幻影城〟などと呼ぶ呼ばない論争なんて、よその国土の所有権を「ここは2000年前から我らのものだ」とかホザいている中国と一緒で、何の確たる根拠も無いんだから。
③
「立教探訪」撮影の裏側 杉本佳奈
④
乱歩の土蔵で眠っていた鳥羽造船所の蔵書 宮本祐希
⑤ 江戸川乱歩書き入れ旧蔵書 米山大樹
旧乱歩邸の建物研究よりも、私はこういう方面のアプローチを進めてほしい。ここに紹介されているのはウィリアム・アイリッシュ『暁の死線』軍隊版ペーパーバックへの書き込み。昔、乱歩センターにお邪魔させてもらった時に閲覧した濱尾四郎『鉄鎖殺人事件』初刊本にも、鉛筆で乱歩の書き込みがされていたのを思い出す。
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旅する乱歩 ~別府編~ 丹羽みさと
この記事が一番面白かった。戦前の乱歩は放浪癖もあって国内のあちこちを旅しているが、その全ての行き先が明らかになっている訳ではない(当り前か)。 寒いのが嫌いな乱歩ゆえ北海道・東北方面はそんなに制覇してないかもしれないけど、西の方面だったらどこまで足を延ばしたのだろう?
⑦
捕物帳の作家たち~捕物作家クラブ展 影山亮/丹羽みさと
元は立教大学に在籍し現在はさいたま文学館の学芸員となり、もうすぐ終了する『江戸川乱歩と猟奇耽異』展の図録を「来館した人にしか販売しない」と言って、埼玉の桶川まで足を運べない人には一切買わせなくしたのが、他ならぬ影山亮。おかげでこの図録は神奈川近代文学館企画展『永遠に「新青年」なるもの』図録と一緒に、fuakl07037というIDの出品者によって悪質な高額で何冊もヤフオクにて転売されている。4月14日の時点でfuakl07037が出品した『江戸川乱歩と猟奇耽異』展図録は四冊落札されており、それとは別に、一冊まだ出品中。こいつはさいたま文学館で最低でも五冊は転売用に買い占めたという事になる。
かつて各地の文学館で探偵小説に関する企画展が開催された時、それに伴い図録などのアイテムも販売されてきたけれど、こんな問題のある図録の売り方は他に例を見ない。ヤフオク転売者のfuakl07037も、出品地域は埼玉県になっている。こんな風に性根が卑しいから埼玉県人は昔タモリに「さいたま~!?」って馬鹿にされたんだよ(もう30年以上前のネタだが)。
(銀) 国際温泉観光大博覧会の wikipediaがあって、そこにはこう記されている。
《会場となった旧別府公園には、六大館と位置づけられた温泉館、観光館、産業本館、陸軍館、海軍館、電気科学館、大分県館に加え、美術館、宗教館、台湾館、朝鮮館、南洋館、農具機械館、特許実演館、善光寺館、日の丸館、三偉人館、別府館、世界一周館、ミイラ館、海女館、歴史館、ラヂオ館、非常時国防館といった多数のパビリオンが建設されたほか、野外演芸場や矢野サーカス演技場等も設けられた。期間中の有料入場者は、計46万7,852人にのぼった。》
思ったよりスゴそうな大イベントだったようで、これなら乱歩ならずとも行けるものなら私だって是非観てみたい。
図録の話とは別に、落合教幸がいなくなってからの立教の江戸川乱歩センターは資料のアクセスがとてもやりにくくなったと、それとなくある方から聞いていた。それが最近になって平山雄一も似たような発言を twitter上でしているのを見かけたから、困っている人が少なからず存在するのであろう。私は研究者じゃないけど、それは看過できない。