▲収録作:
「電気風呂の怪死事件」「階段」「恐ろしき通夜」「蠅」「顔」
「不思議なる空間断層」「火葬国風景」「十八時の音楽浴」「盲光線事件」
「生きている腸」「三人の双生児」/エッセイ「【三人の双生児】の故郷に帰る」
数多い少年物にも別の魅力があるが、昭和6~13年初期型海野はズバ抜けて猥雑で面白い。参考までに、徳島県立文学書道館が刊行している「ことのは文庫」(平成19年刊)/『三人の双生児』『十八時の音楽浴』は今回の創元推理文庫二冊と収録作が少ししかダブってなく価格も安いのでお薦め。在庫さえあれば書道館の通販でも買える。
ことのは文庫 収録作:
〇『三人の双生児』
「三人の双生児」「【三人の双生児】の故郷に帰る」「くろがね天狗」「夜泣き鉄骨」「爬虫館事件」「骸骨館」「透明猫」
○『十八時の音楽浴』
「十八時の音楽浴」「電気看板の神経」「空気男」「洪水大陸を呑む」「特許多腕人間方式」「俘囚」「生きている腸」「ある宇宙塵の秘密」
解説/山下博之 各420円
論創ミステリ叢書では今以て、海野単独名義の巻は刊行されていない。海野の専門家達/長山 靖生・會津信吾・瀬名堯彦・海野十三の会による三一書房版全集未収録作を多数収めた単行本が欲しい。(ヨコジュンもいてくれたら・・・)
(銀) 池田憲章周辺で制作・リリースすると耳にしていた『海野十三読本』の企画はいったい何処へ消えてしまったんだ?「新八犬伝」の研究本といい、こちらがすごく読みたいと思う本を「出すぞ!」みたいに聞いていたのに、どれも実現せず口先だけに終わってしまった。もっとも平成9年に同人出版で出された『名探偵 帆村荘六読本』という(これは池田の仕事ではない)、実にマニアックなファンブックは先行していたのだが。