★★★ ファンシーなカバー・イラストが好みではない
江戸川乱歩「少年探偵団」シリーズ、モーリス・ルブラン/南洋一郎(訳)「怪盗ルパン」シリーズといった、昭和に流通していた本の復刻を目的としていた〈ポプラ文庫クラシック〉とは別のレーベル〈ポプラ文庫ピュアフル〉からのリリース。〈ポプラ文庫クラシック〉同様に語句改変はしていないのが大変結構。これが当り前なのであって、言葉狩りを普通に行っているいつものポプラ社のほうが問題なのだが。
● 登場人物紹介
●「みどりの香炉」 初出/『中学生の友 一年』 1961年12月号
●「黄色い花」 初出/『宝石』 1957年7月号
●「灰色の手袋」 初出/『宝石』
1958年3月号
●「赤い痕」 初出/『宝石』
1958年7月号
●「ただ一つの物語」 初出/『小説サンデー毎日』
1971年12月号
● [解説] 作家・仁木悦子と探偵・仁木悦子のこと 戸川安宣
● 昭和三十年代・四十年代を読み解くキーワード
書名から解るように、これは仁木雄太郎・悦子兄妹シリーズからセレクトした傑作選。冒頭の「みどりの香炉」は本書発売時には単行本初収録であった。戸川安宣がポプラ社の本とは思えぬぐらい丁寧な解説を書いており、仁木兄妹登場作・全リストのような書誌データまでも充実している。この解説が無かったらきっと私は本書を購入していなかっただろう。
仁木兄妹シリーズは怪奇さと縁のない ❛ ほのぼの ❜ 系の謎解きミステリなので、大人ものとジュブナイルを一緒に並べてもそれほど違和感は無い。だから本書のカバー絵に中村佑介を起用したのだろうが、あまりにテイストがファンシー過ぎて小説の書かれた時代と合ってないし、少なくとも私の趣味には合わなかった。こういうイラストは他のジャンルに使ってもらいたい。
(銀) この本の記事は前に一度upしていたのだが、誤って削除してしまったので再び書き起こして掲載した次第。このBlogはGoogle系のBloggerというプラットフォームを使っている。他の日本製のBlogフォームを使ったことが無いのでよくわからないのだけど、Bloggerの管理画面って細かいところで変な現象がいろいろ起きて面倒。