2020年9月23日水曜日

『完本人形佐七捕物帳第三巻』横溝正史

2020年5月2日 Amazonカスタマー・レビューへ投稿

春陽堂書店
2020年4月発売     
     
     
★★    昔から春陽堂の ❛アバウトさ❜ は変わら
    


   
低評価の理由は本巻内容よりも版元の春陽堂にあり、一番下の副音声パートにて述べている。



                    



昭和15年をもって戦前における人形佐七捕物帳の雑誌連載は打ち切られたが、なぜか単行本ならOKという事で、昭和16年以降も横溝正史は佐七の新作を引き続き執筆。この第三巻では、それまで正史が時代小説の別シリーズとして発表してきた短篇を佐七ものへ書き換えた作品が中心となっている(中には原型が探偵ものも)。例えば時代ものからの書き換えは本巻の中では次の数点が該当。



▲「敵討走馬燈」「いろは巷談」「鳥追人形」「出世競べ三人旅」

                  →〈鷺十郎捕物帳〉シリーズが原型



▲「捕物三つ巴」「清姫の帯」「身代り千之丞」「怪談閨の鴛鴦」

 「人面瘡若衆」「笛を吹く浪人」  →〈不知火捕物双紙〉シリーズが原型


▲「まぼろし小町」         →〈花吹雪左近捕物帳〉が原型



本全集の底本には、枝葉の部分をさっぱり仕上げた戦前の初出テキストを採らず、昭和40年以降の改稿版テキストを採っているため、濃厚を通り越してドギツイ場面が書き足された話が目立つのも本巻もうひとつの特徴。「そんな書き足し、いらなかったんじゃないの?」と言う人もきっといるだろう。あの頃はまだ小説もグラビア以外でエロを提供するためのメディアだったからと見るか、はたまた正史の関西人コテコテ気質ゆえと見るかは読む側のあなた次第。



人形佐七は戦後、自由な世の中に変わって更にお色気もたっぷり盛り込まれて・・・みたいに認識されているが、風流なエロならまだしも、リンチ/不具者のまぐわい/異常性癖/片輪者品評会/3Pといった、「お前は朝山蜻一か!」と正史にツッコミを入れたくなるような話が本巻にはある(キレた佐七が女房お粂にDVしてしまう話なんて可愛いもの)。そういうのが苦手な方は人形佐七の中に極端なグロが毎回ある訳じゃないので安心してほしいし、大人だったらコンプライアンスどうこうなどと騒がずサラリと読み流してくださればよいのであって。



                    

 


それと、本巻をAmazonから買った他のレビュワーの方が「梱包がひどくて本が傷んでいた!」と書いておられるので私も便乗して書かせてもらう。このコロナ・パニックの状況下、発送された商品が配送業者側の事情で到着が遅れたというのなら仕方なしと我慢もするが、私はプライム会員なので本巻をオーダーすれば翌日には届くところ、ヤマト宅配便でAmazon倉庫からすぐ出荷されオーダーの翌日昼にはもう私の住まいの最寄のヤマト営業所に着いていたのに、指定などしていない配達希望日をその翌日にされていたために到着が無駄に翌々日にされてしまった。




その一件前のオーダーでは、プライム該当アイテムなのにゆうパケットで発送されてしまって〈お急ぎ便〉扱いにされず、水曜の夕方にオーダーして在庫も十分ある商品だったのに届いたのは土曜だった。これらはコロナによるAmazonスタッフ人手不足のせいなどではない。以前から日本のAmazonは業者レビューに対しては野放しで、我々ユーザーが彼らにとって都合の悪い本当の事を書くと不当にレビューを削除してきた。その上、コロナ騒ぎに紛れて発送処理にまで不審点が多いとくる。プライム会員の方は特に、自分のオーダーが正しいお急ぎ便で発送されているかをチェックし、本を傷めるような梱包しかり、筋が通らない事がもしあったら泣き寝入りなどせずに抗議、いやさっさとプライムを退会してAmazonなど使わないほうがいい。





(銀) 「Amazonはルールどおりにお急ぎ便発送処理をしないから、プライム会員になど絶対なってはいけない」というメッセージは、2020919日の記事とリンクしている大事な内容なので、よかったら是非合わせて読んでもらいたい。


                    

 


春陽堂はAmazonと直取引しているとかで新刊本入荷が他の通販サイトよりかなり早かった為、この第三巻までの『完本人形佐七捕物帳』はAmazonから購入していた。で、2020919日の記事に書いたとおり、汚いマネばかりするAmazon.co.jpで買物をするのは金輪際きっぱり止めることにしたのである。


若干の割引があるし1,500円以上買えば送料無料というので、『完本人形佐七捕物帳』については版元・春陽堂書店のOnline Shop購入へと切り替え、第四巻をオーダーしてみた。サイト上には「1~2営業日以内で配送」と表記してある。そうしたら、いくらコロナで世の中混乱しているったって、新刊の在庫は十分持っており連休中でもないのに発送が一週間ずっと放置状態ときたもんだ。


訳を訊ねると「コロナにより社員の出社が交代制になっているから、発送が週一しかできない」だって。え?他の中小出版社からも直通販で本を買ったけど、どこもすぐに発送してくれたし、遅れるにしても一週間はないだろう? そんなに通販の発送作業ができないのなら、どうして他の中小出版社のように直通販の発送作業ををアウトソーシングしないのか?(その後弁解がましく「勤務体制変更に伴う発送遅延のお知らせ」という文言がサイトに掲載)


                    



ついでに、私がよく使う楽天ブックスや紀伊国屋書店ウェブストアには『完本人形佐七捕物帳』の新刊が全然入荷されないから「何故なのか?」と春陽堂に問うたら「むこうからオーダーが来ないと出荷されないようになっている」って何だよ、そりゃ? 知人に聞くと街の大きい書店にはけっこう並んでいるらしいが、私は実店舗に足を運ぶ時間がなかなか取れない身なのだ。春陽堂の人間は無理にでもAmazonか実店舗か春陽堂Online Shopで買えっていうのか。だったら自社の通販機能ぐらい在庫のある本なら即日発送できる態勢にしなよ、と思った。

 

 

昭和の昔から本作りについておかしな点の多い出版社ではあったが、令和になっても〝テキトーな会社理念〟は変わってないんだな。とにかく自分とこの本を買ってほしいのなら、こっちが最低限スムーズに買えるような環境は必須。なんでもコロナのせいにばかりすれば許されると思ったら大間違いだ。