2012年6月7日 Amazonカスタマー・レビューへ投稿
長崎文献社
2012年5月発売
★★★★★ 幻の探偵作家・土英雄87歳、初の推理小説集
土山秀夫。長崎大学元医学部長で現在「世界平和アピール七人委員会」メンバーの一人。
そして氏には幻の探偵作家「土英雄」というもうひとつの顔がある。
山前譲編『探偵雑誌目次総覧』を開くと、土英雄作品は七作載っているが、
本書には昭和30年以降の四短篇「深淵の底」「影の部分」「妄執」「切断」、
加えて昭和50年に脱稿したまま未発表だった中篇「あてどなき脱出」を収録。
「あてどなき脱出」の舞台は第二次世界大戦時のドイツ。ナチスの統制監視下におかれた強制収容所の病理実験室。満洲から派遣された軍医中尉・宗像昭はロケット光学研究者クリスチーヌに心惹かれるが、殺人兵器開発を拒否する彼女にナチスの魔の手が迫る・・・。
大手でない出版社の本に対するAmazon.co.jpの扱いは劣悪で、この本にしても早々に予約しながら発売日を過ぎても一向に入荷・発送しないので、Amazonは早々にキャンセルし、版元から通販で購入した。長崎文献社のHPではごく小部数限定ながら著者サイン本を販売している。興味のある方はそちらをご覧になられたら如何?
(銀) これはもう内容よりも、土英雄の本を出してくれた版元・長崎文献社を讃える気持だけで満点評価。長崎市名誉市民でもある土山秀夫は2017年9月に逝去、享年92。TBS系の番組JNNドキュメント「追悼 谷口稜曄・土山秀夫〜被爆地が歩む道」は観てみたかった。ちなみに著者のサイン本販売情報は当時のもの。