2020年7月25日土曜日

『探偵作家追跡』若狭邦男

2009年8月18日 Amazonカスタマー・レビューへ投稿

日本古書通信社
2007年8月発売



     この書痴にも怪しい面が・・・




この本、いつの間にかAmazonでも取り扱っていたのである。探偵小説の愛好家でそっち方面の古書蒐集家でもある著者が『日本古書通信』での連載を基に上梓したのが本書。 

 

 

第一章「探偵作家追跡」では江戸川乱歩・小栗虫太郎・角田喜久雄・大阪圭吉・鮎川哲也といったメジャーどころから赤沼三郎・耶止説夫・守友恒らレアな面々、更には香山風太郎・覆面作家なんて怪しげな作家までそれぞれ二十七本のテーマで、いかにも古書蒐集家らしい書誌薀蓄を披露する。中には鮎川哲也「幻の探偵作家を求めて」シリーズを引き継ぐかのように、消えた作家の行方を追ったレポートも。  

 

 

第二章「探偵雑誌閲覧室」は戦後の雑誌『ロック』『さんるうむ』『宝石』『ぷろふいる』『仮面』『トップ』『黒猫』『真珠』『妖奇』『オール・ロマンス』『ネオ・リベラル』『実話講談の泉』『怪奇探偵クラブ』『探偵実話』『オール猟奇』『綺談』『ベーゼ』『探偵趣味』の成立ちをコンパクトに紹介。  

 

 

コレクター特有の知識自慢な気振りが無い訳でもないが、それでも喜国雅彦のように三流の下種な古書自慢ではないし、これまでの評論書では一度たりとも紹介されたことのないような作家についてあれこれ知ることはできる。

 

 

しかしいつも思うのだが、ここまで古書蒐集にのめりこむには相当の出資が必要とされる筈で、いくら好きな趣味とはいえこういう人達はよく破産しないものだなと、昔も今もそんなに変わらないであろうミステリ系古書の高値ぶりを見ると感心するというか呆れるというか。 

 

 

 

 

(銀) Amazon.co.jpカスタマー・レビューへ投稿した時には☆5つにしたけれど〝コレクター特有の知識自慢〟以外の部分にも疑わしいところがその後見つかり、徐々にこの人物の化けの皮が剥がれてきた。 

 

 

ある時ヤフオクでolibiajpというIDの出品者が売っていた古書を落札する機会があって、このIDを観察していると本書をはじめとして若狭邦男の本にサインを入れたものを何度も何度も売り捌いている。ヤフオクでの出品アイテム紹介文も自著同様、変な日本語が散見。家族の名前を借用しているけれどolibiajp=若狭邦男であるのはthreecoffins=森英俊なのと同様、100%バレバレだった。 

 

 

若狭は自著以外にも古本をヤフオクで売っていたが、ある時私はこんな事に遭遇した。某古書即売会目録に出品されていて揃いで出るのはちょっと珍しい、戦前の或る探偵小説関連全集の月報を購入したくて申し込んだのだが生憎私には当たらず。するとその目録当選分の発送が完了してすぐの時期に、件の揃い月報を若狭がヤフオクに出品しているのを発見して驚いた。 

 

 

その揃っている月報は目録で販売されていたものと全く一緒で、ただでさえセットで市場に出る機会などめったに無いアイテムだったから偶然の一致とは思えない。ネットの古書通販や即売会で拾ったレア本をヤフオクで転売しているのは森英俊だけでなく、若狭までそんな事をしていたとは・・・。いくら鮎川哲也『幻の探偵作家を求めて』みたいな調査をしていたって、これではとても認められたものではない。 

 

 

〝喜国雅彦のように三流の下種な古書自慢ではない〟とは書いたものの、その他にも若狭は不審な点が多く、それについては『探偵作家発見100』の項にて記す。