2020年6月28日日曜日

『Twin Peaks The Entire Mystery』

2014年8月8日 Amazonカスタマー・レビューへ投稿

Paramount      Blu-ray Box (10枚組 )
2014年7月発売



★★★★   収録内容は満点




パイロット版、2ndシーズンまでのTVシリーズ、映画と全部盛り。Amazon.co.jpから届いた輸入盤はラッピング・ビニールにdisc made in mexicoと印刷がある北米盤だった。日本語字幕は完備され、まずディスクをプレーヤーに入れると言語選択ができ、メニューも全て日本語。私は「吹き替え」では観ない派なので、「字幕」で全ディスク10枚を観て気が付いた事を書いておきたい。





● Easter Egg(隠しコンテンツ)

全ての特典映像にも日本語字幕がキチンと付いているのに、ここにだけ日本語も英語も字幕が付いていないのが大変惜しい。付け忘れか?では各ディスクの隠しコンテンツを見ていく。



Disc-1

「再生メニュー」でリモコンのEnterボタンを押さず「」ボタンで右側へ飛ぶと縦四段にわたり小さなbox  ( □ ) 9個隠れているので、リモコンの矢印ボタンで画面の下部空間を探すべし。内容は制作スタッフのそれぞれとても短いトーク。



Disc-10

「特典メニュー」から「『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の七日間』の思い出」へ飛び、そこでEnterボタンを押さず「」ボタンで右へ飛ぶと、2個の小さな box  ( □ ) が隠れている。


The Bet」〜アシスタント・ディレクターの映画撮影話

The Fight」〜撮影監督、そしてGary Bullock(映画の前半でデズモンド捜査官+スタンレー鑑識官と敵対する怪力保安官役の俳優)のトーク。





● 不具合?

Disc-10

「劇場予告編集」の「play all」にEnterしても、該当部分ではなくアトランダムに別のとんでもないチャプターへ飛んで再生されてしまう。だから「劇場予告編集」の3つのコンテンツを観たければ、それぞれ個別再生するしかない。


ふたつのブルーレイ再生機で試してみて同じ現象になったので、再生機のせいではないと思う。それらのコンテンツを観られない訳ではないが・・・この現象は製造工程による不運な個体差?他にも海外のファンから〝「The Missing Pieces」(映画の削除シーン集)で音と映像がズレている箇所がある〟という報告があったが、それについては私には感じられなかった。それよりも2ndシーズン後半、オードリーが気のいいおじさんに変装したウィンダム・アールと出会うシーンはなぜか画像が粗く、ここだけアップデートし忘れてるんじゃ?と感じた。


ブルーレイにはNTSCPALもあまり関係ないし今回のBOXはリージョン・フリーで全世界同一仕様のはず。収録内容には大満足なだけに、買った他の人はどうなのか知りたい。





● 特典映像

過去のBOXからの再収録分に加え新収録分と盛り沢山で実に見応えあり。
わけても長年切望されてきた、映画版のカットされたレア・シーンを再構成して作り上げた映像「The Missing Pieces」の価値は大きい。
90分に及ぶその中でもフィリップ・ジェフリーズ(David Bowie)の出現・再失踪と、
TVシリーズ最終回でのクーパーとアニーのその後、このふたつのシーンはファンなら観ない訳にはいかない。


またインタビューで2nd シーズンと映画の当時の不評について、俳優・スタッフとも正面から向き合ってコメントしているのは潔い。David LynchよりもMark Frostの舞台裏証言のほうが面白かった。



殆どの主要キャストがインタビューに出てくる中、映画出演を断固拒否したLara Flynn Boyle(ドナ)と、95年に亡くなったFrank Silva(ボブ)のコメントがないのは仕方ないとしても、Michael Ontkean(ハリー・トルーマン保安官)のコメントは新しく撮ってほしかった。やはりデイル・クーパーとハリー・トルーマンのコンビあってこそのTVシリーズだったから。






(銀) おそらくこのBoxが企画された時点で売上収益を注ぎ込むべく、既に続編『Twin Peaks : The Return』の制作に動き出していたのではないだろうか。『The Return』もwowowで全話見たし、クーパーがブラック・ロッジを出て異空間を彷徨う第3話や〝悪の因子の誕生〟を描いてTVドラマのクオリティとはとても思えない第8話、これらの幻想的な映像は素晴らしかったけれど・・・。 


 

本文でも触れているが、まず続編を作るなら絶対いてもらわないと困るメンバーがいない。これはイタすぎる。

ボブ → 俳優が1995年に病死

小人 → 俳優が出演辞退(ギャラ問題か?)

ハリー・トルーマン保安官 → 俳優業を引退したとの事で出演辞退




他にも、『The Return』のどうしても気になる点

 

   旧シーズン・レギュラー出演女優の老け具合がツライ

   ダギー・ジョーンズの一連のエピソードは観ていてカッタルイ

   2ndシーズン終盤でクーパーはあれだけアニーに夢中だったのに、

  その設定がすっかり消去されている


   David Bowieが出演できないのにフィリップ・ジェフリーズの存在は大きい

   想像された事だけど、ストーリーの殆どがツイン・ピークス以外の土地で展開する

   Angelo Badalamentiの美しい音楽が聞こえてこない


   ボブを倒すやり方がショボい

   2ndシーズンの終わり方には納得したけど、

  『The Return』の最終回は全然良いと思えない

   滝本誠が『The Return』について各メディアでよくコメントしていたのだが、

  『ザ・リターン』を『リターンズ』と言ったり、

  旧シーズンの時よくコメントしていた山形浩生と比べるとウザかった

 

 
全部ではなくても、謎を明かすと物語の神秘性が薄れるという悩ましさが残る。やっぱりどっちかといえば『The Return』はやってほしくなかったかも。