2020年6月21日日曜日

『貼雑年譜』江戸川乱歩

2009年5月13日 Amazonカスタマー・レビューへ投稿

講談社 江戸川乱歩推理文庫 特別補巻
1989年7月発売



★★★★★   見ルベシ 見ルベシ 見ルベシ




80年代の終わりにこれが出た時の嬉しさ・・・帯が傷むまで何度も何度も眺めたものだ。『江戸川乱歩推理文庫』自体はそれほど流通しなかったけれど、一番最後にリリースされたこの超目玉アイテムは数年後池袋のデパートで乱歩展が行なわれた際、秘かに再発されている。結局何刷まで出したんだろう?




戦時下、江戸川乱歩が作家生命どころか己の命まで危なくなっていた時代に、それまでマメに保存していた膨大な自分資料のスクラップをひとつひとつ書き込みも加えて、一種遺言の心算で作成した『貼雑年譜』1〜2巻のダイジェスト。平井家の歴史、引越し魔の足跡、自作への批評、書簡etc。ファンには至福の内容で、特に広告切抜に見られる当時の乱歩の絶大な人気には目を奪われる。更にその後登場した超豪華な東京創元社版はとてつもない価格であったが、この1~2巻を体裁まるごと完全復刻してしまう偉業を遂げた。

たとえ廉価ヴァージョンの講談社版であっても買って絶対損は無い。


 

 

(銀) 本書の完全版にあたる東京創元社版『貼雑年譜』はありえないような手作業にて現物とそっくりの複製に作り上げた少部数限定完全復刻。気になるお値段もこの講談社版のほぼ100倍という・・・。現物の『貼雑年譜』は戦後に作られた巻もあるのだが、全盛期にあたる戦前のぶんと比べて書き込みがそれほど多くなく、乱歩の熱量の違いは明らか。

 

 

しかしファンとしてはそれらのものも是非見てみたいのが人情。東京創元社版ほどの完成度で制作するとまたオソロシイ金額になってしまうし、講談社版ぐらいの写真版の作りでOKだからダイジェストではない全頁フルカラー収録で、可能な限り安価に続巻を出してほしい。