2020年6月25日木曜日

『幻の探偵雑誌6「猟奇」傑作選』

2009年5月11日 Amazonカスタマー・レビューへ投稿

光文社文庫 ミステリー文学資料館(編)
2001年3月発売



★★★★★   2ちゃんねるのような「コラム〝りょうき〟」





「幻の探偵雑誌」シリーズと銘打った全10巻傑作選アンソロジー。
本巻『猟奇』の他に、『ぷろふいる』『探偵趣味』『シュピオ』『探偵春秋』『探偵文藝』『新趣味』『探偵クラブ』『探偵』『新青年』がある。 

 

 

今となっては揃いを見るのもままならない貴重な戦前の雑誌ばかり。各巻末にリファレンスの糧として「総目次」もあり、ミステリー文学資料館名義で編集された文庫の中でも、この「幻の探偵雑誌」と続編の「甦る推理雑誌」の両シリーズが群を抜いて嬉しかった。 

 

 

本巻の主な収録作品は、

■「瓶詰の地獄」夢野久作 ■「拾った遺書」本田緒生 ■「和田ホルムズ君」角田喜久雄

■「ビラの犯人」平林タイ子 ■「扉は語らず」小舟勝二 ■「黄昏冒険」津志馬宗麿

■「きゃくちゃ」長谷川修二 ■「雪花殉情記」山口海旋風 ■「下駄」岡戸武平

■「ペチィ・アムボス」一条栄子 ◇「コラム〝りょうき〟Part Ⅰ

■「朱色の祭壇」山下利三郎 ■「死人に口なし」城昌幸 ◇「コラム〝りょうき〟Part Ⅱ

◇「〝猟奇〟の再刊に際して」国枝史郎 ■「吹雪の夜半の惨劇」岸虹岐

■「肢に殺された話」西田政治 ■「仙人掌の花」山本禾太郎

◇「コラム 〝りょうき〟Part Ⅲ 

 

 

もっとも目玉なのが、投稿欄「コラムりょうき〟」。毒舌、文句だけでなく、時には江戸川乱歩名義の短篇「あ・てる・てえる・ふいるむ」を、この時代に代作だと見破っている鋭い意見も。やっぱりAmazonのレビュー欄みたいに〝おためごかし〟な褒め文句ばかり並べていたら、本当の事はわからないものなのだ。 

 

 

 

 (銀) 「幻の探偵雑誌」シリーズについてAmazonカスタマー・レビュー欄で私以外の投稿を眺めてみると、訳もわからず「Good」とだけ書いて何でも★5つにしているか、「駄作、低レベル」などと貶しているものばかり。如何せん、一般読者にこのシリーズの価値を理解してもらうのはかなり難しい。

 

 

ちなみに平林タイ子とは、戦前にアナキストだったりプロレタリア小説も発表した平林たい子のこと。

 

 

探偵小説愛読者からしたら既存の単行本にはなかなか収録されない小説が読めたり、調べものをするのに「総目次」や「作者別作品リスト」がとても役に立ったり、有難いアンソロジー企画だったのだ。のちに『「シュピオ」傑作選』にて、あるはずのない言葉狩り箇所を発見するまでは・・・。