2020年12月31日木曜日

『新八犬伝/辻村ジュサブローの世界』

2019年7月21日 Amazonカスタマー・レビューへ投稿

NHKエンタープライズ NHK人形劇クロニクルシリーズ Vol.4
2019年8月発売




★★★★★ 役行者よ伏姫よ、きっとどこかで眠っているであろう
          録画テープをひとつでも多く発掘させたまえ




03年にリリースされたDVDの再発廉価盤。「新八犬伝」は第1話、第20話、第464話(最終回)/「真田十勇士」は第1話、第443話。それぞれ400話以上ありながら収録できたのがたったこれだけ・・・。

 

 

物語の発端から完結までをフォローする何本かの総集編の形で「新八犬伝」「真田十勇士」も永久保存の映像マスターを後世に残しておくべきだったのだ。「新八犬伝」が始まった1973年の大河ドラマ「国盗り物語」の総集編はDVDになっているぐらいだから、当時テープが高価だったとはいえ物理的にはやれば出来た筈なのに、日本の公共放送NHK何という愚かさよ。

 

                    🐕


以前も書いたとおり、このDVDの旧盤が発売されたずっと後に「新八犬伝」86話が発掘され、完全な形ではなかったがNHKで放送された。冒頭の八房誕生から犬塚信乃対犬飼現八で名高い芳流閣屋上の決闘直後つまり第85話迄のダイジェストであったため、同じ03年にDVDが発売された『劇場版・新八犬伝』と第86話の内容が殆ど重複していたのは残念だったが、それでも当然撮影された内容はそれぞれ全く別のものだった。

 

 

後続番組の「紅孔雀」「プリンプリン物語」の映像は大量発掘されたのに、私の愛する辻村ジュサブロー人形劇二作は・・・「新八犬伝」は音声だけならいくつかネット上にアップされたのを耳にしたけど、あれ以降映像発掘の吉報は無く・・・。

 

                    🐕

 

「真田十勇士」434435話はテープが残存していながら、映像状態が粗いので商品化を見送っているのだと思う。少しぐらいボヤけたり音が揺れてても我慢するからさあ、担当者さん。「新八犬伝」「真田十勇士」どっちでもいい、どうにかあと5話分(15×5回)ぐらいの録画が見つからないか。そうすれば未商品化の「新八犬伝」86話、「真田十勇士」434435話と併せてDVD1枚商品化出来るでしょ?

 

 

ついでに申し上げたい。学研から出ていた石森章太郎+すがやみつるのコミックス版『真田十勇士』全八巻、それと日本放送出版協会から出ていたノベライズ本『真田十勇士』全五巻、是非復刊してほしい。後者は集英社文庫から文庫化されたが、あんなんじゃ全然ダメだ。元本どおりの再現じゃないと。新しく映像を見つけ出すよりこっちのほうが実現できる可能性があるんだし。





(銀) Amazonのレビューでは書かなかった『新八犬伝』第86話の裏話をしよう。その発見が一部で話題になっていた第86話がNHK地上波でオンエアされたのだが、まるごとフルで流さずブツ切り状態にされていた。某所で知った情報によると、なんでも第86話のリアルタイム放送時にどうも臨時ニュースが差し込まれたのだとか。その部分をそのまま現代ではオンエアできないから、そこだけ削除する為あんなブツ切りにしたのではないか。



もっとも何の因縁か、第86話を放送しようとした2012年の番組『NHKアーカイブス』オンエア時にも大きめの地震が発生してしまい、番組の途中でニュース画面に切り替わってしまうというトラブルが発生(ネット上では「玉梓が怨霊の祟りかよ!」と話題に)。そのせいで第86話を含む『NHKアーカイブス』が無事に観られるのは数日後の再放送まで待たねばならなかった。



長い物語の序盤を振り返る第86話総集編はいつもの15分より少し長い拡大版なんだが、語り手を務める坂本九の出番多し。番組を音で彩る三味線奏者の女性や、玉梓が怨霊の人形を操る若き日の辻村ジュサブローを紹介したり、黒子姿ではないカジュアルな姿で九ちゃんが劇中歌「夕やけの空」「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」の二曲をスタジオで唄う。イレギュラーな九ちゃんのパフォーマンスも貴重なんだが、できれば私は犬塚信乃登場以降の八犬士達の活躍を一分でも長く観たかったので、そこだけはちょっとビミョー。


                    🐕


でも既発DVDにはなく、この第86話を観ないとわからない箇所もある。犬飼現八の、初期でしか使われていない人形はその後のものとは異なり、そのマナコは犬山道節に近い睨みをきかせた目をしており、ふっくらした頬に牡丹の花びらのような痣がハッキリと見える。更に、現八の最終的な声優は関根信昭(犬江親兵衛の声も)なんだけど初期の現八の声は井上真樹夫が演じていてたった一瞬だが井上版源八の声が聞ける。



声優の違いでいったら犬山道節もそうで、道節の担当は低音で野太い声の川久保潔だが、第86話で「拙者についてこい!」と叫んでいるのは川久保でなく犬川額蔵/網乾左母二郎に近い甲高い声だから、この時の道節の声は斎藤隆が演じていたものと思われる。犬塚信乃と里見義実と犬田小文吾は近石真介が担当したり、この番組は限られた人数の声優さん達が一人で幾つものキャラを声色を変えながらこなさなければならなかった。といったところで、当Blogも本年ここまで。