2020年6月15日月曜日

『少年探偵団』江戸川乱歩

2009年5月2日 Amazonカスタマー・レビューへ投稿

ポプラ文庫クラシック「少年探偵シリーズ」
2008年11月発売


★★★★★   次は横溝正史の少年ものをこの文庫で!




まだポプラ社旧版の単行本と比較していないので100%信用するのは早計だが、全く意味の無い言葉狩りによる改悪をせずに昭和30年代の内容のまま手軽な文庫でリイシューするという今回の方針にはとりあえず拍手を送りたい。


 

このポプラ社版少年探偵シリーズは昭和の当時、再版している途中で挿絵画家が変わった巻もあるようで、例えば本作『少年探偵団』の場合だと初代の挿絵は柳瀬茂だったが、私が昔買った時は山内秀一の手によるものだった。そんな意外な楽しみもあってか、このシリーズ売れ行き好調のよう。

 

 

この勢いに乗って横溝正史の少年もの全復刻を是非とも要望する。乱歩と違って正史の少年物はかなり入手難で、朝日ソノラマ・角川文庫でのリイシュー時に山村正夫によって主人公を金田一耕助へと書き換えられてしまった作品もある。真に我々が欲するのはオリジナルの装幀とテキスト。販売的にも今ポプラ社が正史を復刻する意味は乱歩以上にある筈だ。

 

 

先年同社より刊行されたポプラポケット文庫/名探偵金田一耕助シリーズ『仮面城』『大迷宮』『金色の魔術師』はほとんど大人向けのような素晴らしい解説を付けながら、語句改変ならびにマンガのようなカバー・挿絵に落胆させられ購入を控えたファンは多かった。ニーズは多いのだから今度こそポプラ社には期待したい。

 

 

最後に一言。本シリーズ末尾のエッセイの人選はもっと慎重に。喜国雅彦のような古本荒らしが探偵小説に顔を突っ込むのはホントに勘弁してほしい。

 

 

(銀) たしかこれが初めてのAmazonのカスタマー・レビュー投稿だったと記憶する。もう約10年も前の事か。この頃はポプラ社や横溝正史本に対してまだ期待を抱いていたらしい。乱歩の少年探偵シリーズの中では、発表順だと二作目にあたるこの「少年探偵団」が私にとっての最高傑作。