今日は蘭郁二郎長篇「白日鬼」に関する初出・初刊データから見てもらおうと思う。
✜ 昭和10年3月
同人誌『探偵文学』(月刊)創刊。
✜ 昭和11年10月
「白日鬼」第一回、『探偵文学』第二巻第十号に掲載。連載開始。
✜ 昭和11年11月
「白日鬼」第二回、『探偵文学』第二巻第十一号に掲載。
✜ 昭和11年12月
✜ 昭和12年1月
「白日鬼」第四回、『シュピオ』第三巻第一号に残りのぶんを一挙掲載して完結。
✜ 昭和16年9月
~ 探偵 幻想 猟奇 冒険 推理 科学 ~
今日は蘭郁二郎長篇「白日鬼」に関する初出・初刊データから見てもらおうと思う。
✜ 昭和10年3月
同人誌『探偵文学』(月刊)創刊。
✜ 昭和11年10月
「白日鬼」第一回、『探偵文学』第二巻第十号に掲載。連載開始。
✜ 昭和11年11月
「白日鬼」第二回、『探偵文学』第二巻第十一号に掲載。
✜ 昭和11年12月
✜ 昭和12年1月
「白日鬼」第四回、『シュピオ』第三巻第一号に残りのぶんを一挙掲載して完結。
✜ 昭和16年9月
二度目の邦訳単行本として初めて文庫に入った「エンジェル家の殺人」。戸川安宣は我が国に伝わってこないロジャー・スカーレットの来歴を明らかにすべく人手を介してあれこれ調査、本書解説にてそのレポートを綴っている。従来この作家に注目していたのは日本人ぐらいのものだったし、英語圏のRoger Scarlett wikipediaなんていまだに存在しないんだろうなと駄目元で検索してみたら・・・あった!おそらく2017年のCoachwhip Publications刊『The Roger Scarlett Mysteries』Vol.1~3に触発され、本国アメリカの好事家が立ち上げたに違いない。
♣
(銀) 四十年ほど前に大庭忠男の訳が出て、その後、東京創元社はこの文庫再発してたっけ?もし本格長篇として評価されていれば、「名作ミステリ新訳プロジェクト」などと銘打って最新訳が出されていてもおかしくない筈。それが無いということは・・・。
門前払いが続いていたドイルの原稿「緋色の研究」をしぶしぶ受け入れたのは『ビートンのクリスマス年鑑』の版元ウォード・ロック社。とはいうものの印税払いを断られ、25£貰う替わりに著作権買取なんて条件は作者にとって耐えがたい仕打ちにも等しい。本盤のブックレットでライナーを執筆しているC.Countney Joynerは「緋色の研究」の著作権がドイルとウォード・ロック社の間で複雑になっていたため、1933年公開の映画「A Study In Scarlet」は作品名の使用権しか獲得できなかったと言うが、この人、映画界には詳しくてもドイルにはそれほど詳しくなさそう。そんな感じがする。
リージョン・フリー:日本のBDプレーヤーで再生可能
本編:72分
字幕:英語/スペイン語
封入物:ブックレット/オリジナル・ポスター・レプリカ・ポストカード
ワタシなど細かいポイントに注意を払わず読み進んでしまいがちだが、これは衆人環視下の事件ゆえ、現場に居合わせる顔ぶれはしっかりインプットしておいたほうがよい。召使頭ジュゼッペの行動も要チェック。ヘザー・バドコックが死ぬ直前、マリーナ・グレッグの視線の先にあったものについ気を取られ、読者はミスリードさせられてしまうけれども、読み終わったあと強烈な印象を残すのは他に例を見ない特異な動機。本作は早川書房日本語版翻訳権独占と謳ってあり、現在流通しているのが同じ橋本福夫訳なのは別に構わない。しかし、旧版に使われている〝気ちがい〟〝白痴〟〝低能児〟、さらに〝模型きちがい〟みたいな言葉まで現行本で書き変えられていたら、そいつはゆゆしき問題だ。2004年以降出回っているクリスティー文庫版『鏡は横にひび割れて』をお持ちの方、どうです?
本国イギリスでの発表は1962年。ということはクリスティー72歳の時の作品か。必要最小限の分量で物語を終わらせる無駄のない書き方も秀逸だし、同じ年齢でやっと「仮面舞踏会」を完成させた横溝正史が冗長な長篇しか書けなくなっていたのと比べても、彼女の力量はまだそれほど衰えていないのがよく解る。初めて本作を読み、「終盤に来てあの二人を殺しちゃったよ。もう少し堪えて様子見していたほうがよかったのでは?」「片方はともかく、もう一人を手に掛けるのは性急だったんじゃない?」と思われた方、いませんか?そのあたり、前段階にてそうせざるをえなかった状況がシレッと書かれているのを見落としてるかもしれず、是非一度再読してみてはいかが?
『怪樹の腕~〈ウィアード・テールズ〉戦前邦訳傑作選』(☜)が世に出て早や十二年が過ぎたのか・・・・それだけ長い年月を掛けたからこそ今回の企画も素晴らしい内容に仕上がっているのはわかっちゃいるけど、もう少し会津信吾にはハイペースで本を作ってほしいなあ。今や何の考えも無しに垂れ流される、このジャンルの新刊。作り手の知性とセンスを感じる書物なんて、どこを探しても無い。
❁「疾病の脅威」高田義一郎(『探偵趣味』昭和3年1月号発表)
❁「屍蠟荘奇談」椎名頼己(初出不明/底本は昭和3年刊『屍蠟荘奇談』赤木書房)
❁「亡命せる異人幽霊」渡邉洲蔵(『蜂雀』昭和4年1月号発表)
❁「火星の人間」西田鷹止(『冨士』昭和4年10月号発表)
❁「肉」角田喜久雄(『文学時代』昭和4年10月号発表)
❁「紅棒で描いた殺人画」庄野義信(『犯罪科学』昭和5年10月号発表)
❁「鱶」夢川佐市(『怪奇クラブ』昭和5年11月号発表)
❁「殺人と遊戯と」小川好子(『犯罪科学』昭和6年3月号発表)
❁「蛇」喜多槐三(『犯罪実話』昭和7年1月号発表)
❁「毒ガスと恋人の眼」那珂良二(『経済往来』昭和7年3月号発表)
❁「バビロンの吸血鬼」高垣眸(『少年世界』昭和8年1月号発表)
❁「食人植物サラセニア」城田シュレーダー(『犯罪実話』昭和8年2月号発表)
❁「恐怖鬼侫魔倶楽部奇譚」米村正一(『犯罪公論』昭和8年6月号発表)
❁「インデヤンの手」小山甲三(『週刊朝日』昭和10年5月1日臨時増刊号発表)
❁「早すぎた埋葬」横瀬夜雨(『奥の奥』昭和11年9月号発表)
❁「死亡放送」岩佐東一郎(初出不明/底本は昭和14年刊『茶煙亭燈逸伝』書物展望社)